富士山での四日間
公開日 : / 更新日 :
遅ればせながら、5月の上旬に参加した、ある学校の環境保全体験活動の様子を書き留めておきます。 今年も色々なことを学んだので、そのことをしっかり忘れないためにも。 昨年から始まったのが、この環境保全体験活動。 生徒たちに「ゴミ拾い」をさせるのではなく、「自然を守りたい」、「ゴミを拾いたい」と思えるような原体験を、富士山の自然の中で味わってもらうことを目標に実施しています。 なので、生徒たちは一応ゴミ拾い用にゴミ袋を持って来ていますが、ゴミを拾うというプログラムはなく、約13人の生徒たちの班にスタッフ一名が付いて、スタッフの引率で各班がそれぞれのペースで富士山の中腹を日帰りハイキングする形になっています。 まず、一日目はスタッフで下見でした。 天気も良く、昨年からの経験者である僕がコースを案内して歩きました。 この日は、樹齢200年くらいはありそうな大きなもみじの木を見つけました。 苔をまとった貫禄ある風貌は、まさに樹海の主といった感じでした。 二日目も下見。 僕はマーティンとポポと三人で同じコースを担当することに。 二日目は、それぞれが受け持つコースを入念に確認しながら歩きました。 双子山の中間部にはまだ雪が残っていて、雪解け水が川となって流れていました。 天気も良くて暑かったので、靴下を脱いで足を入れてみましたが、いやー冷たいこと、冷たいこと(笑) 下見であることを忘れそうになるくらい、リラックスして楽しんだ一日でした。 三日目がいよいよ本番初日。 去年はコースの最後に話しの中でしか触れることが出来なかった「ゴミ」について。 今年新たに設けられ、3コース中で一番ゴミの多いコースを担当することになったことで、どのようにゴミのことに触れていくべきなのか、手探りの状態のまま本番を迎えていました。 歩く中でどこかで何かのきっかけがあるはず、生徒たちに合わせて、きっかけを生かしたいと思って歩いていきました。 コース中盤、最後尾を歩く生徒達を待って停まっていた時に、先頭の生徒が土の中にから不思議な物を見つけました。 草の中から持ちあげられた緑色の物体は予想以上に長く、最初は何なのか分からず。 「?・・・」 良く良く見てみると、畳の縁の部分でした。 生徒自身がゴミを拾い上げたことで、生徒達からの自主的な流れが生まれました。 「ゴミ袋は持ってきてるかな?」から始まって、 僕は、山は良く歩くし、大好きな場所だから、いつも目に付いたゴミは拾っているという事。 今日はじっくり拾う時間はないから、ちょっとだけでいいから出来る範囲で拾いたいと思っている事。 そして、皆も気になったら拾ってほしいけど、授業だからといって強制はしないという事。 そのあたりを簡潔に皆に伝えてみました。 拾うか拾わないかは生徒達に委ねました。 僕もその後は、大きなプラスチックの植木鉢のゴミを一つ拾っただけでしたが、生徒たちは僕が思っていた以上に、積極的にゴミを拾ってくれました。 その気持ちがとっても嬉しくて、最後の振り返りの時間に、皆に「嬉しかった。ありがとう。」という言葉を伝えました。 四日目、本番最終日 初日とはまた違った仲間たちと過ごすことを考えて、気持ちを新たに迎えていました。 最初の顔合わせから伝わって来ていた、なかなか元気が良さそうな班だなという印象。 それが歩くうちにどんどん伝わってきました。 ならば早く山の上の世界、特に双子山の兄山(高い方の山)の世界に導いてみようかな。 そこで、なるべくテンポ良く、双子山の中間部に向かうようにしました。 「山に登りたい人、行ってきていいよ!」と伝えると、生徒たちは既に登っている他の班の生徒たちを追うように、上がっていきました。 僕はそれを追いかけてゆきつつ、皆の様子をみると、予想以上の数の生徒たちが上がってきていました。 結局、女子生徒も含め、13人中11人が兄山へ。 登りつめていく中で、それまでバラバラに歩いていた皆が、頂上にたどり着いた時には気持ちが一つに集まっていました。 山頂では曇っていて富士山頂は隠れているものの、雄大な景色に生徒たちも興奮気味。 生徒たちが次々と山頂にたどり着くため、いつまでも記念写真が終わりませんでした。 双子山からの下りは、楽しい砂走り。 特に女の子達は下山の砂走りが楽しかったようで、手を繋いで並んだりしながら、はしゃいで下っていきました。 短いながらも、強烈な自然体験の時間だったようで、下山後の振り返りの時間にもそれが伝わってきました。 一人一人が、うまく言葉に出来ないながらも、どうにかそれぞれの心の中に湧いてきたものを表現したいという気持ちが感じられました。 四日間、マサの山中湖の自宅に寝泊りをしながらの四日間でした。 昨年同様、今年も魅力的なスタッフが集まっていて、生徒たちとのふれあいから学んだことと同時に、仲間達から大いに刺激を受けました。 これだけの、尊敬できる仲間達が集まってくる場に自分自身がいられるだけで、とても幸せなこと。 一年に一度、自分を成長させてくれる場として、また来年の5月がとっても楽しみなのです。
「黄葉のカラマツ」