富士山の夏山シーズン(山開き)は7月になってからですが、
ゴールデンウィーク直前に富士山スカイラインが開通し、
富士宮口5合目に車で入れるようになります。
富士宮口5合目の様子
そこで、4月下旬頃から残雪期富士登山の
ベストシーズンを迎えます。
「雪の富士山」と聞くと、
とても厳しい雪山登山のイメージがあるかもしれません。
しかし、天候の厳しい12-3月の厳冬期を過ぎているので、
4-6月は天候が落ち着き、天候さえよければ快適な登山が出来ます。
もちろん、雪山登山ですので、
ピッケル・アイゼン・ヘルメットといった雪山登山の装備を
持っていないと安全に登ることが出来ません。
少し分かりやすく説明しますね。
(1)滑落停止
富士山は一定の傾斜が続く斜面です。滑りやすい硬い雪面の場合、
滑落を止めることが困難です。そのため、ピッケルを使った雪上技術
が必要です。
(2)歩行技術
アイゼンを付けていても、付けていなくても、雪上で安定して歩ける技
術が必要です。
(3)読図・コンパスワーク技術
森林限界を超える雪山では霧に包まれると一瞬でホワイトアウトの状
態になるので、道に迷わないための知識と技術が必要です。
(4)安全確保技術
安全のためのヘルメット着用はもちろんのこと、気象や気温の変化に
よる雪質の変化に対応した危険予測が必要です。
また、怪我をした場合でも簡単に救助してもらえる環境ではないので、
ツェルトなどの緊急避難、救急装備も持参したいです。
晴れていても雲が上がってきて。
上の写真の10分後に、雲に包まれ視界が20m程度になった様子です。
残雪期の富士山は、夏山と比べ物にならないほどのリスクがあり、
毎年事故が発生しています。
自分自身がミスをしなくても、
残雪期は落石が起こりやすい時期でもあります。
自然落石でも人為落石でも、
雪上を数100m、時に1000m以上滑り落ちてくる落石は
野球ボール大のサイズであったとしても、頭部にあたれば致命傷になります。
このように、落石や転倒を含め、
事故が起こった際の被害を最低限にしてくれるのがヘルメットです。
自動車運転でのシートベルト着用と同じように重要です。
残雪期に富士山に初めて登ろうという方は、
残雪期登山に慣れていて、安全を確保できる方と一緒に
登られることをオススメします。