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いきなりタイトルから攻めてます(^^;)
 
私がガイドする時は常日頃から「ストックは限定的に使うべし」と話しています。
 
バランスのとれた安定した歩行が出来ていない方が、ストックに頼り続けることに危険が潜んでいます。
 
 
 
今日はこのストック使用のメリット・デメリットについて書いてみたいと思います。
 
普段からストックを使ってる人も使ってない人も、早合点せずに最後まで是非とも読んでもらいたいと思います。
 
 

この10年で、ストック使用意識が変わってきた

 
私が登山を始めた頃は百名山ブームで、ダブルストックを使ったヨーロッパのトレッキングスタイルが少しずつ浸透してきている状況でした。
 
登山者層が中高年の方が大半だった時代から、ここ数年の山ブームでは若者から高齢者まで幅広い世代が歩くようになり、女性や子どもの登山者も増えました。
 
「登山」という言葉が持つ敷居の高さ、厳しいというイメージが薄れてくるに伴い、体力に自信がなくても自分に合ったルートを選んで歩くというスタイルがこの10年ほどで定着してきていると思います。
 
 
そんな時代の変化の中で、徐々に登山者がストックを使用する上での意識が変化してきているように思います。
 
体力に自信がない方、高齢者、膝に不安がある方が使用していたり、足のトラブルや疲れた時に使用する形が多かったと思います。
 
それが、近年特に機動力を高めるツールとして、若い方や体力がある方も積極的に使うようになってきました。
 
そのため、登山を始めるにあたって最初に購入する装備の一つになりました。
 
登山の必需品として扱われるようになってきたと言っていいと思っています。
 
 

ストックを使うと確かに楽なんですが・・・

 
確かにストックを使うと楽です。
 
両手にダブルストックを持てば、バランスを崩したり、スリップするリスクが減り、かなり安定した歩行が出来ます。
 
でも楽をした分だけバランス保持力が養えません。
 
膝が痛くなるからと毎回ストックを補助に使っていたら、いつまでも歩き方が上手くならないのです。
 
ストック使用にはメリットもデメリットもあるのです。
 
 

岩場でバランスがとれない登山者を見かけた話

 
先日、北アルプスの水晶岳の山頂である登山者の方と会いました。
 
山頂付近の岩場でヨタヨタフラフラしながらストックを突いて歩いていました。
 
年齢は50代後半くらいの方だったでしょうか。
 
もちろん、平坦地なら普通に歩ける方なんだと思います。
 
私はその方の後から登ってきて先に山頂に立ち、先に下山して行きました。
 
おそらくあの岩場の箇所に限って言うと、歩行ペースが3倍くらい違うんじゃないかと思います。
 
 

岩場を安定して歩ける人、歩けない人

 
岩場では本来ストックを締まって、手を使って登り下りしましょう、というのが一般的になっています。
 
ただ、水晶岳の山頂付近は北アルプスの他の場所と比べて比較的危険性は少ない場所です。
 
さらに傾斜が緩いため、岩に手をついて歩くためには上半身を屈めて歩かないといけない場所でした。
 
そのため、この方はそのままストックを使用して歩いていたんだと思います。
 
ただ、このような大岩が積み重なった場所は、足の置き場以上にストックを上手く突く場所もないのです。
 
そのため、ストックを突く場所をあちこち探しながら歩いているので、上半身が動いてバランスを崩すという悪循環に陥っていました。
 
 

バランスを保つ能力

 
あくまで、水晶岳山頂付近はクライミング経験がなくても、岩場慣れしている登山者なら手を使わずにスイスイ歩ける場所です。
 
でも、岩の上の足場が小さかったり、傾いていたりするため、バランス保持力がない方は悪戦苦闘してしまうのです。
 
 
ではバランスを上手く保てる方と、保てない方の違いはどこにあるのでしょうか?
 
もっとも影響するのは、足首まわりの筋力と柔軟性です。
 
そして、次に軸足に重心を置いて安定した姿勢を保つための体幹部の筋力と柔軟性です。
 
さらに、それら筋肉を適切に動かして、負担を最小化出来る動きのコツを体得していることです。
 
このあたりは、言葉で説明するのが難しいので、いずれ、動画でご紹介出来ればと思っています。
 
 

ストックを使うと○○から逃げることが出来る

 
今回は、これほどバランス保持力がない方が北アルプスの水晶岳まで登ってきていたということに、深い問題があるなと感じました。
 
警鐘を鳴らす必要を感じて、ブログ記事に書くことにしました。
 
山頂に岩場があったとしても、そこに至る途中に岩場がなければ、北アルプスの稜線でもあってもストックを頼って登ってこれてしまうのです。
 
おそらく、この山頂付近の岩場が長く続くような行程だったら、登って来れなかったかもしれません。
 
 
また、これは私の推測ですが、この男性は日頃の日帰り登山でも常にストックを使って歩いてるのではないかと思います。
 
同年代の登山者の中でも飛びぬけて、バランス保持力が無さ過ぎる様子だったからです。
 
ここに、ストックを日常的に使うことのデメリットが現れています。
 
敢えて厳しい言い方をすれば、ストックを使うことで自分の歩きが下手であるという現実に向き合わずに済んでいるのです。
 
 

そういう私もかつて逃げてました

 
ここで白状すると30代前半のガイド活動を始めたばかりの頃の私も、その現実に向き合えていませんでした。
 
夏の間に20日程度山を歩いていたので、足への負担を減らそうと、疲れを感じている時はダブルストックを使っていました。
 
あの頃の自分にもしアドバイスできるなら、「荷物を減らして、体重減らして、体を柔らかくしろ!」って言いたいですね。
 
ガイドのクセに何を安易にストックを頼ってるのかと。
 
 

ストックを使うなという話ではありません

 
でも、膝が痛かったり調子が悪いなと感じた時にストックを使うことは全く間違ったことではありません。
 
また、岩場、ガレ場でも2本の足でしっかりバランスをとって歩ける方は、安定した歩行技術が身についているので、岩場以外ならどんなにストックを活用しても問題ないと思います。
 
私が問題だと思うことは、ストックがないとバランスを保てない登山経験の浅い方が、ストックに頼ることを慢性化させてしまうことです。
 
登山に必要なバランス保持力を養わないままステップアップしてしまった結果は、既に先ほどのケースで触れました。
 
北アルプスに登るという結果は残せるかもしれません。
 
しかし、実際には非常に危なっかしい不安定な歩きのまま、ストックに頼ってどうにか歩き通しただけなのです。
 
 
加えて言うなら、今以上に足首周りの筋力UPをしてバランス保持力を高めることが難しいご高齢の方は決して無理をなさらないで下さい。
 
一般的には60歳代でも意識的にトレーニングをすれば、筋力UPが可能です。
 
年齢だけで線引き出来るものではないと思いますが、一定の年齢を超えると体を鍛えることは難しくなるのも事実です。
 
そのような場合はストックを積極利用して頂き、岩場のある山は卒業して頂くのがいいと思います。
 
 

装備が高機能化することで見失ってしまうこと

 
ストックに限ったことではないですが、現代は登山装備が充実しています。
 
そのため、高機能な登山装備を揃えることで、自分自身の登山力を総合的に押し上げることが可能です。
 
しかし、それは自分自身の実際の登山力ではないということを見落としがちです。
 
 
速乾性の高いアンダーを着ることで、大量に汗をかいてもすぐに乾いて汗冷えしにくくなっています。
 
でもその分、脱水が原因で高山病症状に陥る方が増えているように思います。
 
汗冷えはしにくく、不快感が低減されても、汗をかく量が変わったわけではありません。
 
発汗を抑える歩き方、発汗しても脱水症の影響を避ける適切な水分補給法は自分自身で獲得していくしかないのです。
 
 
 
ということで、今回はストックをテーマにしました。
 
ストックを活用している登山者と、依存している登山者では、全く状況が違うということがお分かり頂けたでしょうか?
 
ストックに頼らず安定して歩く方法については、【山の歩き方講習会】でお伝えしています。
 
今後は関東以外の地方開催も検討しています。
 
是非、来てほしいエリアがありましたらリクエストを頂ければと思います。

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