今年も高校の校外学習に野外学校FOSのスタッフとして参加してきました。
富士山の双子山への日帰りハイキングです。
私たちは、生徒たちが自ら「楽しい!」と思える瞬間を大切にすることを最大のテーマにしていました。
頭ではなく、心が動く瞬間、それって実は普段の学校生活や日常ではあまり大切にされていないのではないかと考えているからです。
前回書いた「冒険キャンプ」と共通している部分でもあります。
そのため、必要以上の自然解説はしません。
登山実習ではないので、歩き方などの活動に関する指導も最低限に留めています。
僕らが意図したプログラムを与えるのではなく、生徒たちの関心や動きを見ながら、ガイドは対応していきます。
安全を確保しつつ、森の中で「自分で歩きたい場所を歩いてごらん?」と声をかけます。
生徒たちが自由に思い思いの場所を歩き、急斜面を駆け上がる子、足元の花の写真をとりながらのんびり歩く子と、自分自身の時間が生まれていきます。
双子山の山頂付近は見晴らしがいいので、集合時間を決めてフリータイムにしてみることもあります。
誰に言われるでもなく、山頂へめがけて駆け上がる子もいれば、横になって空を眺めたり、昼寝をしたりする子もいます。
自由であることで、生徒たち自身の心が解き放たれて、自然と一人ひとりに合ったプログラムがその場で生まれていきます。
その場に「寄り添う」のがガイドの役割と言ってもいいのかもしれません。
生徒たち自身が自分たちで楽しんでいる姿を見れること、そして、集合時よりもいい顔をして帰っていく姿を見れることが、何よりガイドとして嬉しいことですね。
このような自由度の高い活動を行っている団体はほとんどありません。
「題名のない音楽会」というのがありましたが、題名どころか曲目や順番もおおまかにしか決まっていない登山ガイド。
こういうプログラムをLISでも積極的に行っていけたらと考えているところです。
でも、こういう活動を実行するには、きっちりと対応できるガイドが必要です。
コース設定や登山口、下山口などプログラムの大枠は決まっていますが、登山道を外れて、積極的に獣道を辿ってみたりもします。
ひとつのコースに入る3班(3コース×3班=9班)が全く同じコースを歩くことはありません。
特に今回一日目が雨天だったので、目標としていた双子山に行けませんでした。
雨が強いときはタープを張って雨宿りをしましたが、その時にどうするかもすべて各班を担当するガイドに委ねられていました。
そういう意味ではガイドの個人の個性、アドリブ力が試されていたと思います。
だからこそ、毎年この二日間はとても勉強になることばかりです。
また、今回集まった9名のガイドはそれぞれに得意分野や個性が様々ですが、それぞれに素晴らしいガイドたちで、一緒に活動をしていて本当に心強くもあり、良い刺激を与えてもらえる仲間です。
ガイド自身が与えられた条件やマニュアルに従っているわけではないので、どんな時においても自分の言葉で語ることが出来る魅力的なスタッフです。
僕自身がそう感じるのですから、おそらく生徒たちも同じように感じていたのではないかなと思います。
個人的には5月上旬から体調を崩していたので、一週間近くかけて体調をほぼ回復させることが出来、どうにか今年もこの高校のガイドを担当することが出来ました。
仕事としてというよりも、人間として貴重な経験をさせてもらえる場なので、参加できて良かったと思います。
今年もまた高校生のみずみずしい感性に触れて、僕自身もとても感動することが出来ましたし、とても楽しい時間でした。
一日目が雨のち曇り、二日目も曇り時々雨、二日間ともなかなかその姿を現さなかった富士山でした。
なのに、なんと二日目の閉会式後、駐車場での解散間際に霧が晴れて、青空のもとに雲をたたえた富士山の姿が表れたのでした。
突然の出来事に大歓声があがりました。
こういう巡り合わせがあるたびに、ますます富士山が好きになっていきます。
解散後には虹までかかりました。 生徒たちは帰路に着くバスの中で、どんな思いであの虹を見つめていたのでしょうか?
ありがとうございました。