今回出版することになったので、facebookの個人アカウントでもそのことを報告する投稿をしたら、予想以上に反響がありました。
素直に嬉しいのですが、特にまだガイドになる前のフリーター時代、まだ何者でもないパッとしないただの山好き青年だった20代から30代前半の私を知っている人たちに「おめでとう」と言ってもらえて素直にうれしかったです。
山が好きで山を仕事にしたいと思っていただけの若造でした
20代から30代はじめは、某登山用品店で働いていました。
その当時の同僚や先輩、また、今でもつながりのある野外学校FOSの仲間たちと一緒に山に入る機会がたくさんありました。
その中でいい登山体験が出来たからこそ、皆さんのおかげで山がますます好きになりましたし、自分流に山を楽しみ続けることが出来ました。
ただただ漠然と「ガイドになりたい」という目標を持っていましたが、結果的にはその道をゆっくり進んで実現することが出来ました。
思い返すとあの頃の自分はホント甘っちょろい若造でしたが、優しい仲間と先輩に恵まれていたと思います。
登山を始めた学生時代から卒業後どのような道に進むべきか悩んでいましたが、結局具体的な進路らしい進路を決めず、就職もせずにそのままフリーターになりました。
自分自身が何をしたいのか具体的にハッキリわかっていなかったですが、その時から「進むべき道を迷ったら人で選ぶ」をモットーにしてきました。
あの当時、自分自身が最も憧れた人物は、ガイドの師匠でもある戸高雅史さんです。
「この人と一緒に登山をしていれば、自分自身が成長できるに違いない」
そんな漠然とした目標だけで、20代を過ごしていました。
今思えば、当時はよくあんな甘い考えで生活していられたなと思いますが、若気の至りですね。
どんな山に登ったかよりも、誰と登ったのか
あの当時にしていた登山を振り返ると、どの山に登ったかよりも誰と登ったか、人との思い出ばかりが甦ります。
進むべき道が分からずモヤモヤしていた時代に、仲間や先輩との出会いに恵まれ、登山を通じて色々な経験を積み、刺激を受けることが出来たことは本当に幸運だったと思います。
こうした経験から私のガイドスタイルは大きな影響を受けています。
「この山に登りたい」というのももちろんあると思いますが、「このガイドさんと登りたい」と思ってもらえるようになりたいと考えています。
優しさとか気遣い、登山能力、指導力、それだけでも足りないと思います。
「一緒に登りたい」と思ってもらえるガイドに
「一緒に登りたい」と思ってもらえる人間的な総合力をガイドを続ける以上一生磨き続けていきたいと考えてます。
そう思うのも野外学校の先輩の言葉の受け売りでもあります。
「登山家として成長する前に、人間として成長し続けたい」
山を始めたばかりの20歳そこそこの私にとって、この言葉は痛烈に印象に残りました。
登山を続けていさえすれば、おそらく一生を通じて、肉体的にも精神的にも成長し続けられるのではないか。
そう思った20年前の初心は今もあまり変わりないような気がします。
基礎的な体力は若いうちの方があるのかもしれませんが、あの頃には気づけなかった歩行技術の蓄積が少しずつ増えています。
50代になると、肉体的な成長は難しいと思うようになっているかもしれませんが、それでも自分の成長を楽しみに、登山を続けていきたいと思っています。
こうした成長は短期的にはわかりにくいかもしれませんし、地味かもしれませんが、登山の面白さ、醍醐味ですよね。
さて、この記事を20年後の60歳を過ぎた自分は、どう読むでしょうか。
今から楽しみです。
写真は7月上旬の鎌倉長谷寺にて