野外学校FOS主催の「冒険キャンプ2009」にスタッフとして参加しました。
小学校高学年の子どもたち(子どもだけ)を対象にした二泊三日のキャンプ。
住む地域も学年も違う子どもたちが15名、スタッフ11名が富士山麓のキャンプ場に集って、過ごしました。
冒険キャンプという言葉でみなさんはどんなキャンプを想像するでしょうか?
実は、このキャンプでは特別に「冒険的」なプログラムを用意するようなことはしていません。
ただ、シンプルかつ、自然に深く触れる濃厚な時間を過ごすことができるキャンプであることは間違いないでしょう。
まず、三日間を過ごす森の中のキャンプ場は電気も水道もありません。
水は汲んできたものを使い、夜はランプの明かりしかありません。
もちろんトイレは水洗ではありません。
不便かもしれませんが、より自然に近いキャンプをするのには最高の場所です。
雨でも快適なキャンプが過ごせるよう、事前にタープ(屋根状のシート)を高く張っています。
そして、その下が、食堂でありみんなが常に集う場になっています。
いつもその中心に絶えることなく焚き火が灯されています
周囲には、キッチンスペースとなる場所をはじめ、装備庫や各宿泊テントが点在しています。
初日は午後に土砂降りの雨が降りましたが、逃げ込める建物などありません。
タープの下で雨をよけながら、お餅つきをしたり、プログラムは予定通り行いました。
雨だからこそ、火が恋しくなり、男の子たちは積極的に焚き火を燃やし、女の子たちはおやつ作りを楽しんだりしていました。
雨の中、どろんこ遊びを始める子もいましたし、直径20cmほどの木の枝を拾ってきて、ナタを使って切るのに夢中になっている子もいました。
これらはすべて、大人の側(スタッフ)が作り出したプログラムではなく、子どもたち自身が自らやりたいと思って主体的に遊びだした結果でした。
それを、安全を確認しながら見守る、そして可能な限り一緒に遊ぶのが私たちスタッフの役割です。
食事作りも基本的には手伝いたい人が手伝うというスタイル。
食後の片付けなどの最低限のこと以外は、キャンプでありがちな集団行動を強いるようなことはしません。
それぞれが自由になること、自分がやりたいことを思いっきり楽しむこと。
とってもシンプルではありますが、意外と普段それが出来ていない子どもたちが多くて、何よりも「冒険」なのではないかと、今回のキャンプで改めて感じました。
二日目は双子山へのハイキング。
早起きして、日の出時刻にキャンプ場を出発。
御殿場口の駐車場で朝の空を眺めながら朝食を食べて、森の中へ。
ゆっくり歩きながら進み、やがて森林限界を抜けていきます。
眼前に双子山とその奥の富士山が飛び込んでくると、それぞれが思い思いのペースで双子山へと吸い込まれていきます。
「火」の点いてしまった子は駆け上がってしまうのですが、それはスタッフも同じこと。
素晴らしい景色に興奮しながら、駆けるまでいかないまで子どもたちと一緒に登っていきます。
前日の雨が6合目よりも上では、雪として積もっていました。
雪化粧をした富士山を眺めつつ、風を避けながらのお昼タイム。
海苔を風に飛ばされそうになりながら食べたおにぎり。
食後は楽器を鳴らしたり、寝転がったり。
お昼過ぎに下山してきたので午後は完全なフリータイム。
洞窟探検や森の中を鹿の角を探して歩いたり、斧で薪割りをしたり、子どもたちは自分のやりたいことをして過ごしたのでした。
夜は夜で、ナイトハイキングや夜の洞窟探検、星空観察など、子どもたちが参加したい活動を選んで参加していました。
三日目は片付けのあと、「私の時間」
三日間、好きな遊びをし続けてきたけど、最後に与えられた40分ほどを、本当にかけがえのない時間として過ごして欲しいと伝えると、子どもたちは思い思いの場所へと散っていきました。
そして最後にマインドクロッキー。
画用紙一枚に、今の気持ちを絵や文や詩にしたりと、表現することで三日間の「振り返り」とするのです。
ここでも与えられた40分間を、三日間を思い出しながら、それぞれの時間を過ごし、その後に全員と一言ずつ感想をシェアする時間をもちました。
それぞれが自分の言葉で楽しかったこと、印象に残ったことを話してくれました。
ありきたりの言葉や、同じフレーズの言い回しではなく、子どもたちが自分の言葉を使って、自分自身を語ってくれたことがとても嬉しく感じました。
僕自身もマインドクロッキーをしつつ、スタッフの仲間だけじゃなく、子どもたちにも「楽しかったよ、ありがとう」という気持ちが湧き上がってきて、胸が熱くなりました。
こういう経験が得られる時に、こういう活動をしていて本当に良かったと心から思います。
まだまだ、このようなスタイルのキャンプを実施しているところは少ないと思うので、このようなキャンプの素晴らしさを、個人的にもどんどん広めていきたいと感じました。
最後にちょっとだけ写真を載せておきます。 二日目、双子山へ吸い込まれていく人々。
建物やテントを使わずに、タープで過ごしていると、その上に広がる空といつもつながっているような気がするんです。