「プリンスルート」とは?
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富士山の富士宮口5合目から6合目まで登る
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宝永遊歩道経由で宝永火口の中を登り、宝永山の馬の背へ。
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すぐに御殿場ルートの下山道に合流するので、そこを登らず、しばらく横に移動して登山道へ合流。
- そのまま御殿場ルートを登って山頂へ至るコース
を指しています。
2008年に皇太子殿下が富士山に念願の初登頂をされたときに、このルートを使用したことがきっかけで「プリンスルート」と呼ばれるようになりました。
なぜ、皇太子様はこのルートを登ったのか?
やはり、御殿場ルートが登山者が少ないため、富士山の4大登山道の中で最も混雑を避けることが出来るからです。
登山の快適性や警備のしやすさがあったからだと思います。
しかし、御殿場口5合目が富士山の中で最も標高の低い5合目であるため、かなりの長丁場になってしまいます。
(富士宮と比べると御殿場の5合目は標高で900mも低いのです。)
そこで、標高の高い富士宮口5合目からスタートし、御殿場ルートへ連絡している宝永遊歩道(お中道とも言います)を利用して御殿場ルートに移動するという変則的なコースを選択したのです。
このことで御殿場ルートの欠点である、ルートが長く、途中に立ち寄る山小屋やトイレがない点を解消できるのです。
プリンスルートの魅力は?
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江戸時代に噴火した「宝永火口」を通るので、ダイナミックで迫力のある風景を見ることが出来ます。
山頂の火口には入ることが出来ませんが、ここはまさに火口の中を登ります。
通常の登山では体験できない魅力です。
コースを外れると落石の危険がありますが、火口と言っても噴気が出ているわけではないので安全です。
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登山者が圧倒的に少ないこと、登山道で狭い箇所がないため、混雑・渋滞はありません。
「プリンスルート」と呼ばれるようになり、多少登山者は増えましたがまだまだ、知名度が低いルートです。
そのため、登山者で渋滞する他の登山道がウソのように、登山者はまばらです。
たまに、宝永山に登る日帰りバスツアーの団体に遭遇しますが、登山道が広いので渋滞はありません。
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富士山最大の側火山である宝永山に立ち寄ることが出来ます。
富士山では登山中に景色の変化が少なく、単調な風景ですが、宝永火口が噴火した際に出来た宝永山に立ち寄ることが出来ます。
すなわち、このルートでは富士山と宝永山、二つの山頂に立つことが出来るのです。
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ルートの大半が砂礫状なので、段差が少ない。
富士山は場所(地形)によって登山道の路面状況が異なります。
岩が転がっている場所では、時折、岩の段差を乗り越えて登っていく箇所があります。
しかし、プリンスルートを利用すると岩の段差がある個所は山頂近くの一部に限られるため、歩きやすいです。
特に、高齢の方や歩幅の小さい女性ほど、段差の大きな箇所は肉体的な負担を強いられます。
小さい一歩ずつでも大丈夫で、自分の歩幅で歩くことが出来る砂礫状のルートは大きなメリットです。
プリンスルート利用時の注意点
富士宮6合目(2500m)からそのまま富士宮ルートを登った場合、新7合(2800m)、元祖7合(3000m)に山小屋があります。
しかし、プリンスルートを登った場合、次の山小屋は7合4勺わらじ館(3050m)です。
標高差約500m、コースタイムにすると2時間半、山小屋がありません。
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山小屋の数が少ないため、山小屋と山小屋の間の間隔が長くなることを想定して計画を立てましょう。
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山小屋で調達しにくくなる分、余分に飲料や食料を携帯する必要があります。
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特に天候悪化の可能性、雷の心配があるときなど、すぐに山小屋に逃げ込むことが難しいので、悪天候時の利用はオススメしません。無理に歩かない判断が重要です。
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適度に休憩をとるため、山小屋がない場所でも、平らで休憩しやすい場所、風が当たりにくい場所などを見つけて休む必要があります。
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宝永火口上部と馬の背周辺は風の通り道のため、悪天候時、強風時の通行は避けましょう。
子どもや小柄な女性は吹き飛ばされてしまって、這って歩かなければならない位の風が吹きます。
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濃霧時などは道標・分岐点を見落としがちなので、注意が必要です。
御殿場口は登山道と下山道が並行していて、この間を接続する道があったり、ブルドーザー道があったり、道が入り組んでいます。
必ず地図を持参し、濃霧時や集団で話し込んでしまうと、分岐点を間違うことがあり得ます。
LISではプリンスルートを利用したガイドツアーを実施していますので、興味がある方はWEBサイトも是非ご覧ください。
>>>Nature Guide LISのWEBサイト