春の足音が聞こえ始め、暖かい日が増えてくると、
天気予報では「雪崩注意報」が発令される日が多くなります。
場合によっては、「多い」というよりは、
「ほぼ毎日注意報発令中」という方が正しいかもしれません。
そもそも、雪崩注意報は気象庁が都道府県の予報区単位で発令するものです。
また、注意報はあっても警報はありません。
実際に山の積雪状態は、標高や斜面の向き(方位)によって大きく異なりますが、
気象庁の予報はそこまで細かな情報を元に発令していません。
そのため、登山においては「全く関係ない」とまでは言い切れませんが、
注意報が出ているから「登山するのは危険」というわけではありません。
さらに言うと、発令されていなくても、発生する可能性はいくらでもあります。
雪山や雪崩のメカニズムを詳しく知らない方は、
気象庁発表の雪崩注意報のイメージが強いので、
雪崩注意報が頻発する3月以降、
暖かくなると雪崩が多くなるというイメージが強いかもしれません。
しかし、実際には、雪崩事故が多い月は、3月、1月、12月の順番となります。
このことから雪崩の起きやすい時期というのはなく、
入山者が多い時期に、事故が多くなっているだけなのです。
(統計によると、3月は学生山岳部の事故、1月、12月は社会人山岳会の事故が多い)
雪崩対策として必要なのは、
(1)正しい知識を身につける
(2)危険を回避した行動をとる
(3)雪崩にあった時の対処法
(4)雪崩があった時の救出法
おおまかに、この4つの知識・技術が必要です。
「雪崩注意報」ではなく、正しい知識を元に、自分自身で雪崩の危険度を察知できる能力が必要です。
(エリア限定で毎日雪崩情報が掲載されています)
雪山に入る方は、書物などでの机上の知識で留めず、
フィールドで開催されている雪崩講習会などに参加して、実践的な知識・技術を身につけることをおすすめします。