先日、YAHOOのニューストピックスにも取り上げられていて、この朝日新聞の記事を読みました。
有料記事なので、冒頭部分のみ写真載せます。詳しくは直接記事を参照
この記事を見て、Twitterで感想をつぶやきました。
倒木避けて道迷い遭難って、結局、読図が出来てないってことですよね。
しゅう— 野中径隆 MichitakaNonaka(Nature Guide LIS) (@natureguidelis) October 31, 2018
自粛を呼びかけるのも大事なんだけど、遭難事例を元に
「地形図持ってても、GPS持ってても、読図が出来ないとこうやって道迷いする」って事実をもっと広める必要がありますね。 https://t.co/2z3Bn5wkQo
台風後あるある、登山道が消えている
登山を長く続けていれば、倒木や土砂崩れ、残雪で登山道が歩けなくなっていることなんて、何度も経験します。
今年は台風が多かったので、この秋は倒木を避けて歩く機会が多いです。
台風ではなくても、集中豪雨などが降るだけで、特に沢沿いのルートは状況が一変することがあります。
木が一本倒れているくらいなら登山道を見失うことは少ないと思いますが、土砂崩れが起きていたり、沢の流れが変化して沢沿いの登山道が消えていたり、丸太橋が流失していたり、渡渉出来る場所が変わっていることがあります。
登山道が消えてしまった部分が大きければ大きいほど、迂回している間に道に迷いやすくなります。
また、もともと登山道が不明瞭なルートであればあるほど、元の登山道を発見しづらいです。
さらに、早朝や夕暮れ時の薄暗い時間帯や、霧が濃い、雨が降っているなど、視界が悪くなると道を見失いやすくなります。
そして、登山道が消えてしまった後に、その場所についている踏み跡が必ずしも正しいとは限りません。
どの踏み跡を辿るのがいいのか、自分自身で判断する必要があります。
また、晩秋から冬にかけて良くあるのが、通行量の少ない、道幅が細い登山道は、落ち葉が積もって、どこが登山道か分かりにくくなります。
GPSは強力な保険ではあるけれども
GPS専用機を使ったり、GPS機能のあるスマホを活用していれば遭難時に位置情報を知らせることが出来たり、現在地特定は確実にできるのでGPSは強力な保険になります。
ただ、それらを普段活用して山を歩いている皆さんも、もう一度冷静に考えてみて下さい。
登山道をロストしてしまった時に、どこをどう歩いて元の登山道に復帰したらいいか的確に判断できる自信はありますか?
地図もコンパスもGPSも持っているだけでは道迷いを完全に防げない
本来、地図とコンパスを使った読図技術は、登山道を見失う前から定期的に現在地を確認していきます。
ですので、道に迷ってから慌てて地図をコンパスを取出しても、現在地は分かりません。
そんな時に役立つのが、GPSなのですが、現在地が分かったとして、登山道を外れていて、道の無い場所を登山道が見つかるまで歩くのはなかなか大変なことです。
だからこそ、GPSユーザーの方も、従来の読図知識を持っておく必要があるのです。
もちろんそれは、GPSが何らかの不具合で使えなくなった時にも役立ちます。
- 地図を整置して見る
- 地形を読む
- これらを定期的に行いながら、現在地を把握し続ける
これらが読図の基礎になりますので、最低限この知識を持った上でGPSを利用しましょう。
「整置ってなに?」
「地形を読むってなに?」
という方は是非、どこかで読図の講習を受けることをオススメします。
本を読んだだけで正確に実践できる人はなかなかいませんから、実際にフィールドで詳しい人に教えてもらうのが確実です。
もちろん、LISでもGPSアプリと地図読み講習会を開催していますので、是非ご参加ください。
台風・大雨後の登山で注意すること
このように登山道が分からなくなってしまった場合は、無理せずに元来た道を戻るのが最も安全確実な選択肢になります。
しかし、例えば下山中の登山道でこのような状況にあったら、「元来た道を戻る=山頂に登る」ことになりかねません。
そういうことを防ぐためにも、台風や集中豪雨の直後は、同じルートを登り下りするのが理想的です。
登りで通れない箇所があれば、登山自体を断念すればいいだけのことです。
下山時に通れない個所があるのは、時間的にもリスクが大きくなるので、そのことを踏まえて、より安全なルート選択をすることも重要です。
読図力を高めるトレーニング
登山道を歩いていると、地形を読む必要性に迫られることがほとんどありません。
そのため、登山道しか歩いていないと、なかなか真剣に読図する機会がないのです。
普段からバリエーションルート(登山道が分からないほどの雪道、沢登りなども)を歩いている人は、「常時登山道をロスト」しているようなものなので、読図をする経験と知識技術を積み上げていくことが出来ます。
ですので、講習などで基礎知識は持っているという方は、経験者に付いてバリエーションルートを歩くこともオススメしたいと思います。
登山道を出て、登山道がない場所を歩いて、リアルに「読図しないと行動できない」状況に身をおくのです。
これ、意外と楽しいんですよ。
そして「道がない」という状況に少しでも慣れておくと、いざ本当に道に迷った時も冷静に対応出来ると思っています。
登山WEB教室でも地図読み(読図)に関して、動画で解説しています
読図に関する知識は文章だけで伝えるのが難しい情報ですので、私が解説した動画を登山WEB教室に掲載しています。
メールマガジンに登録して頂くと、動画が全て閲覧できます。
メールマガジンでは、最新の動画やブログ記事の掲載情報をお知らせしていますので、是非、こちら(↓)のページからメールマガジンにご登録頂ければと思います。
登山ガイドが教える初心者・入門者向けweb教室