静寂の御殿庭
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登山WEB教室
ガイド経験がギュッと詰まった登山に役立つ動画をLINE登録者限定で公開してます。
2020年7月16日に「膝を痛めない、疲れない Q&Aでわかる山の快適歩行術(山と溪谷社)」を出版し、10年以上の登山ガイド経験を凝縮した山の歩き方の動画3つを登山WEB教室に追加しました。
- 【登山歩行術①】歩き方-基礎編|フラット歩行と2軸歩行(約24分)
- 【登山歩行術②】歩き方-登り編|重心移動とストレッチ(約15分)
- 【登山歩行術③】歩き方-下り編|ペンギン歩きと腰の引けない着地法(約17分)
登山WEB教室では、上記以外にも60以上の動画を掲載していますので、ぜひ一度ご覧になってください。
18日はまたまた富士山に行ってきました。 (今年何度目なんでしょう?) 御殿庭の草紅葉は10月中旬頃が良いと聞いていたので、少し遅くなりましたが、時間が出来たので日帰りで行って来ました。 二日連続で東名の集中工事渋滞にハマリつつ御殿場へ。 昨日に引き続きお昼からの登山開始です。 水ヶ塚駐車場から須山口登山道を登っていきます。 通い慣れたコースなので、下山が日没後になるだろうなぁと思いながら、そうなったら富士山の森のナイトハイクを楽しもうと思って歩き始めました。 春から通い続けているエリアだけに、季節の移ろいを感じながら歩きました。 早く御殿庭に行きたい気持ちもあったので、ちょっと早めに歩きました。 額に汗しながら歩く感覚が久しぶりで、なんとなく嬉しくもあり、思いっきり体を動かすことを、体が求めていたのかもしれません。 途中、おにぎりと昨夜の残り物の天ぷらという豪勢な昼食を食べ、御殿庭へ。 御殿庭に着くと、そこは霧に包まれていて、視界がほとんどありません。 いつものように風が吹き抜けることもなく、静寂そのもの。 まずは、9月に皆でビバークした森の中に行き、一ヵ月半前の出来事を振り返っていました。 ふと気づくと、心なしか周囲が明るくなったようなので、樹林から出てみると、びっくり! 霧が晴れて、表現し難い独特の赤色に紅葉したオンタデの群落が、見た事もないようなモザイク模様を描き出していました。 期待していた草紅葉を眺めることが出来た僕は、久しぶりに一人口琴をひいて、しばらく時間を過ごしました。 口琴の音色と共に、再びあたりに霧が立ちこめ、再び静かな御殿庭に。 16:30。 ちょうどあたりが暗くなり始める頃になっていました。 歩きなれているとはいえ、暗くなって迷わないように慎重に地図を確認しながら、小走りで下山を開始。 途中、びっくりした鹿が逃げ出していく音を何度と無く聞きながら、幕岩、お胎内経由で水ヶ塚へ。 19時過ぎ、水ヶ塚の駐車場に帰着しました。 短い時間とはいえ、御殿庭の新しい姿を垣間見ることが出来て充実した時間でした。 ただ、残念だったことがあります。 9月には見なかったのですが、須山口登山道の一部の箇所で、登山道上の石や樹木に真新しい蛍光グリーンのペンキマークが5m間隔くらいで塗られていました。 もともとついていた赤のペンキマークが薄れてきていたので、どなたかが塗ったのでしょう。 しかし、豊かな森の中にまったくそぐわない、ちぐはぐな蛍光色。 正直言って、「何てことをしてくれたんだ」と思いました。 怒りという感情よりも、とてもとても残念でなりませんでした。 このようなことはもう日本全国のどこでも起こってほしくないと思います。 せめて、使用するのであれば、ペンキの色は赤や黄色、白などの原色にとどめてもらいたいです。 スプレー缶でマーキングするのが簡単なのでしょうが、樹林帯の中では枝に赤布を巻く形にしたいものです。 そもそも、石や樹木などに直接マーキングするのは、迷い易い砂礫地帯や岩場だけでいいはずです。 樹林帯の中の道にマーキングすることの必要性が全く理解できなかったです。 富士山の貴重な景観を、こんなちょっとしたことで損ねてしまうんだということ。 そして、ペンキを塗られてしまったカラマツが、これからずっとあの姿のまま生きていかなければならないということ。 塗ったのがどんな方なのかは全く分かりませんが、そういうことに気をかけてもらえなかったということが、本当に残念でなりません。 どうしたらいいのか、正直僕も分かりません。 ただ、僕に出来ることは、このことを多くの人に伝えていく事なんだと思います。
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2022年3月2日に「プロガイドの新提案 バテない登山技術(山と溪谷社)」を出版します。
ブログ記事に書籍発売に至る経緯、初めて(?!)の産みの苦しみについても記載してますので、興味のある方はぜひ御覧ください。