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 8日は千葉県の公立中学校二年生、修学旅行のプログラムの中で、富士山の中腹・双子山の日帰りトレッキングをガイドしてきました。
 今回は、いつもお手伝いをさせて頂いている「野外学校FOS」のスタッフとして加わっての活動でした。

 2泊3日の予定で前日から山中湖に滞在している中学生たち。
 前夜はなかなか眠れなかったのかな?
 集合場所の水ヶ塚駐車場に着いたバスの中から、まだ眠そうな中学生たちが続々と下りてきました。

 広場で対面式をして、ガイドの自己紹介タイム。
 今回はFOSスタッフが22名。
 200名の子どもたちを対象に4つのコース、18班に分かれて双子山を目指します。
 当日は快晴、山頂からの展望を期待して、いよいよ登山開始です!

 私がガイドしたのは、赤塚から双子山のコース。
 子どもたちに自由に楽しんでもらいたいから、いつも一番最初に伝えることがあります。

 「危険な時、集合する時は言うから、それ以外は僕を見失わなければどこを歩いてもいい。」

 

ガイドの前を歩いてもいい

 前の人に着いて一列になって歩くだけなら、遊園地のアトラクションとあまり変わらないと思いませんか?

 野生動物が住む森を、だれでもなく自分自身の感覚で歩く。
 ガイドのちょっとした心配りが、与えられるだけの体験から、自ら掴む主体的な体験に変えるきっかけになるのです。  

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登山道を外れた自然林の中でひっそりと立つカエデの巨木。
樹皮には苔がびっしり、とても貫禄のあるこの森の古老です。
個人的には、この樹に会いに来ることを毎年楽しみにしています。

道を外れて森の中を歩くと、自然と歩きやすい場所があります。
「獣道」です。
鹿の糞だけでなく、死んだ鹿の骨も落ちています。
これらを見つけるのは子どもたちです。
こんな場所ではガイドは先頭を歩かない方が、子どもたちがどんどん生き生きとしていきます。

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森を抜けて、森林限界を過ぎると視界が開けます。
樹海の向こうに広がる青空。
こんなところで食べるランチはきっと、心に残ります。

対面式の時、子どもたちに「気持ちいいな、楽しいなと思ったらヤッホー!と思いっきり声を出してごらん」
「響いて聞こえる場所もあるし、何より仲間が応えてくれるはず」と伝えていました。

森林限界を越えて景色が良くなったあたりから、自分の班、他の班の子どもたちがあちこちで「ヤッホー!」と叫んでいます。
楽しい時は、「楽しい!」っていう感情を思い切り表現してみることがとっても大事。
大きな声を出すことで、その感情がどんどん湧いてくるし、大きな声を出すことですっきりする。
そして何より、周りにその感情が伝播して、皆が楽しくなっていくんですよね。

 

そして、見上げれば双子山の山頂が手の届きそうなところに。
早い班はすでに山頂に着いているようです。
男子たちは、早く山頂に行きたくてしかたがありません。

こんな時は、山頂での集合場所だけ決めて、「自由に登っていいよ!」
僕はいつも、一番ゆっくりな子と一緒に一番最後に山頂に着きます。

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「登らされた」のではなく、自由に自分のペースで登ってきた子どもたちは達成感だけでなく、満足感と共に、気分が高揚しています。

双子山の手前側・下塚の山頂部からは、さらに先に着いた別の班が、対面して見えている上塚に登っている姿が見えてきます。
雲の切れ間から、宝永山の姿も見えます。
「あっちにも登りたい!」

そこで、班のメンバー全員で双子山の鞍部に下りて、荷物を下ろします。
ここでも、集合時刻を決めて、「一時間ずっと休憩していてもいいし、上塚に登ってそのあと休憩してもいいよ」と伝えました。
今回の班のメンバーはみんな元気で、全員が上塚目指して登っていきました。

4つのコースからどんどんと他の班が上がってくるので、続々と、上塚の山頂にも子どもたちが上がってきます。
中には上塚の山頂と鞍部を3往復した子もいたようです。
砂走りを下る楽しみまで覚え、登り下りに熱中していますP1030163.JPG

ちょうどこの時、西の空に彩雲(環水平アーク)が見えました。

続々と登ってくる1人1人の表情を見ているのが楽しくて、集合時間の5分前まで上塚の山頂に居て、走って皆の待つ鞍部へ。
おやつのパンケーキを皆で美味しく食べたら、出発準備。
今度は御殿場口の駐車場までの下りです。

ハイペースでかけ下る子、怖いからゆっくり下りたい子と、かなりペースに差が出るので、複数の班が一緒に下って、先頭と最後尾にガイドが着きます。

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もちろん僕は先頭役。
僕に遅れまいと着いてくる子どもたちの写真を撮りながら、下りて行きました。

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午後になって雲が多くなってほとんど見えていなかった富士山頂がようやく姿を見せてくれました。
閉会式の集合時刻に合わせて、森のスペースに集合します。

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閉会式に集まったFOSのスタッフたち。

閉会式、そしてバスに乗り込んでいった子どもたちの表情が、朝とは全く違うこと。
それが何より、僕たちスタッフには嬉しいのです。

子どもたちがバスに乗り込んだ直後、雨が降り始めました。
そんな中で、皆を見送りました。

走り出したバスを追いかけての毎年恒例の「見送りダッシュ」

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僕が担当した班が乗った、最後の6号車を見送ると、雨は降っているのに、富士山はしっかり姿を見せてくれているではないですか!!

湧きあがってきた気持ちは、思いっきり声に出すのみ。
富士山に向かって、「ありがとうーーー!」

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