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毎年恒例ですが、大学の授業として実施している「積雪期富士登山」に、野外学校FOSのガイドスタッフとして参加してきました。

今回は直前の天候の影響で、雪面が硬くしまっていたので、ガイドスタッフ3名がそれぞれ3-4人の学生を率いて、ロープで確保しながら登っていきました。

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新7合目を目指して登る

 

今回のガイドを通じて、雪山に慣れていない学生たちが素直に発していた「怖い」という感覚がとても大事なことなんだと強く印象に残りました。

どんなに雪山に慣れたガイドが「大丈夫」と言ったところで、個人差はありますが、「イヤイヤ、怖いでしょ」と思っていたり、緊張感を感じているのです。

それは、言葉で説明されて理解出来る、出来ないという話ではなく、体が素直に「危ない!」と感じて、一種の防御本能が働いているんですね。

なので、朝一番の学生達は体の動きも硬く、説明されたように上手に体を使えない状態でした。

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周囲は霧に包まれ、恐怖心が高まるシチュエーション?

 

そんな中、丸一日雪山を歩いて、最終的には雪面をアイゼンを使わずに、ピッケルだけを持ってお尻や靴底で滑って下山してきたわけです。

当然、個人差はあるわけですが、最終的にそれぞれ「怖い」という感覚が薄らいでいましたし、朝とは見違えるほどしっかりと自分自身の体を使うことが出来ていました。

一日の中での学生たちの変化を見て、改めて「怖い」と感じることは悪いことでもなんでもないのだと感じました。

その感覚に向き合うことでそれぞれが安全に行動するための「コツ」を掴んでいったわけで、「怖い」と感じることはモチベーションでもあるのだと思います。

「怖い」と感じるということは、「安全」を求めている証拠でもあるのです。

 

今回の登山では、講習のために時間を割き、ロープで確保することで出来る限りの安全な環境で登山を実施しました。

そして、普段山登りをしない一般学生が授業として実施している登山ですから、「登頂」というカタチに拘らず、体験の質を重視して行動判断を行いました。

学生10名中2名は標高2800m付近で引き返し、ゆっくり休憩を楽しんでから下山しました。

その他の8名も、楽しんで下山できる程度の余力を残し、時間も考慮して、今回は8合目を最高到達点としました。

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8合目で寝ころび、空を見上げる

 

日常ではアリエナイ雪山の経験を通じて、何かを感じ取って持ち帰ることが出来たでしょうか?

この体験が今後の学生生活や社会人生活に役立ててもらえたら、私も嬉しいです。

 

それと同時に、その体験を提供したのは授業を開講している先生や、私たちガイドなのですが、そもそもこの授業を選んだ学生自身の判断がこの体験を引きよせたことを忘れないでもらいたいと思います。

「やってみたい!」と思った自分の心の声に素直に決断を下したのです。
そこはしっかり、自分を褒めていい!
と思うのであります。

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