【親子で北アルプステント泊縦走】の連続記事です。
この夏、子どもと一緒に登山がしたかった
この夏、子どもと一緒に登山がしたかった2
この夏、子どもと一緒に登山がしたかった3
この夏、子どもと一緒に登山がしたかった4
この夏、子どもと一緒に登山がしたかった5
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2019年8月14日 登山4日目(最終日)
白馬岳頂上宿舎テント場→白馬大雪渓→白馬尻小屋→猿倉登山口
夜明け前、目覚めてテントから外をのぞくと、晴れています。
今日はきれいにご来光が見れそうです。
夜明け前のテント場
前日はゆっくり寝ていて、ご来光を見れなかったので、今日は近くの丸山まで見に行こうと決めて支度をします。
が、息子がなかなか起きません・・・(^^;
親子登山では子どもの寝起きが悪かったり、ご来光に興味を持たないことはよくあることですね。
今回は、私も妻もご来光を見たかったので、「二人で見てくるから一人でテントで寝てていいよ」と声掛けをしました。
「一人はいやだ」
「じゃあ起きて」
・・・と一連のやりとりがあり、息子も渋々起きてご来光を見に行くことになりました。
ご来光を待つ息子と私
初めて山からの御来光を見る
寝起きでテンションが低かった息子ですが、きれいな夜明け前の景色を見たら、また急にスイッチが入ったようです。
持ってきていた自分のデジカメで写真を撮りまくっていました。
山の上からちゃんとご来光を見るのは、息子にとっても初めての経験でした。
きっと、「奇麗だからご来光を見にいこう」と言われてもピンとこなかったのだと思います。
何事も経験してみないと、分からないですよね。
「どの山をいくつ制覇したか」とか「ご来光が見れた」「奇麗な写真が撮れた」といった大人が持っている「山の楽しさ」、価値観のようなものを子どもは持っていません。
子どもだからこそ、それらを「まだ知らない」わけで、それが子どもの良さ、子どもらしさだと考えています。
なので、出来るだけその価値観を子どもに強制したくないと私は常日頃から考えています。
だからこの日も、テントで寝ているというならそれでいいと思っていました。
無理強いはしたくないのです。
御来光の奇麗さや、その価値におそらく、いつかきっと気づく時が来る。
その価値観との出会いは、その人(その子)自身のものです。
それが、今ではないとしたら、大人はじっと見守っているだけでいいと思うのです。
その価値観との出会いがいつ訪れるのかわかりません。
その時がきたときに、そばにいて、一緒に感動を共有できればそれが一番なのだとは思います。
でも、もしかすると、今ではなくて、子どもが成人して一人で山に登った時に出会うのかもしれません。
一生出会わないかもしれませんが、それでいいのだと思います。
大人に子どもを合わせるのではなく、子どもに大人が合わせてあげる。
これが親子登山の中で「何をするか」を判断する上で大切にしたいと思っているポイントです。
息子が連写して撮った中の一枚です。
その後、テントに戻ろうとすると、なんと息子がライチョウを見つけました。
まだ日の出直後で周囲のハイマツには日影が多くて、しかもライチョウも茂みの中でじっとして時折頭を動かすくらいなので、私を含めて周囲の大人は一切、ライチョウの存在に気づいていませんでした。
下の写真がその時私がカメラで望遠ズームで撮影したものです。
写真真ん中に、ライチョウがいるのが分かるでしょうか?
すっかりご来光や周囲の景色に大人が気を取られている中、きっちりとライチョウの姿を見つけてしまう息子に、妙に感心してしました。
将来、ライチョウの研究者になったらいいのではないかと話をしながら、テントに戻っていきました。
白馬大雪渓へ下山開始
さて、名残惜しいですが今日は下山の日です。
朝食を済ませ、テントを撤収、下山を開始します。
大雪渓を下るので、この時に備えて持ってきていたヘルメットを装着して記念撮影です。
今回は息子も装着しやすいようにと、モンベルのチェーンスパイクを3人分用意してきました。
覚えてますでしょうか?
今回の親子登山のテーマは「雪を見る、雪を滑る」でした。
雪を見るは既に達成していますので、「雪で滑る」が待っています。
そう、大雪渓を滑りたいと息子が言っていたのです。
今回はこのためだけに、ヒップソリを持ってきていました。
夏の雪渓を知っている大人としては、「夏の雪渓はガタガタで冬のスキー場と違って滑るのは難しいだろうな」と思っていました。
でも、息子が滑ってみたいというそのことにとにかくチャレンジする機会を与えようと思っていました。
さっそく、雪面にヒップソリを置いて、滑ります。
もちろん、安全のためのヘルメットは装着していています。
さらに安全確保のため子ども用のフルボディハーネスを装着し、万が一滑って勢いがついたら止められるように、私がロープで確保するという「本格的な尻滑り」体制です。
(子犬のお散歩状態です)
しかし、やはり実際に滑ってみるとスプーンカットの凸凹が大きく、砂利交じりの雪は少し滑って止まってしまいます。
しかも、ちょっと滑ってみたところで、雪面はどこまでも続いています。
後ろから押してみたり、逆に前からロープで引っ張ってみたりして少し楽しみました。
ただ、最終的な結論としては「白馬大雪渓は尻滑り出来ない」、尻滑りしていたらいつまで経っても下山できないことがよーく分かりました(^^;
(くどいようですが父は最初から予想が出来ていましたが・・・)
とにかく下山が大好きな息子は、最終的にそりを引きずって下山していました。
何とも珍妙なその下山の様子を撮影していたので、載せておきます。
息子も「白馬大雪渓」と言葉を聞いただけではわからなかったと思いますが、実際に歩き、滑ろうと試みたことで、そのスケールの大きさや「滑らなさ」を体当たりで体験して学ぶことが出来たのかなと思います。
大雪渓の中で記念撮影
大雪渓が終わっても先は長い
大雪渓の後半、下山で疲労がたまってきた妻の歩行ペースが落ちてきました。
白馬大雪渓が終わると分かりやすい登山道を少し歩いて白馬尻小屋があります。
この小屋まで息子と私だけが先行して、先に昼食を食べて待つことにしました。
先に行動をしたのは、妻の歩行ペースが落ちていたため、下山する猿倉登山口からのバスに間に合わない可能性が出てきたからです。
(本来、登山パーティがバラバラになるのは避けたいところですが、単独行動になるメンバーが体調不良ではなく自力で行動が出来ること、そして分岐点などがなく道迷いの心配がない区間、短い区間、集合場所が明確などの条件下であれば、このような別行動は問題ないと思います)
白馬尻小屋についた私と息子は昼食メニューを頼んで、先に昼食を食べました。
そして、遅れて到着した妻には、息子とのんびり昼食休憩をとってもらい、私だけ先行して下山することにしました。
私たちが乗ってきた車は入山した栂池高原に駐車したままです。
そのため、車を取りにくいためには、猿倉からバスを乗り継いで栂池高原まで行く必要があります。
そして、バスで行って車で戻ってくる形をとれば、運転手一人が先行して下山すればいいだけです。
ということで、私一人なら重装備を背負っていても小走りでコースタイムより早く下山出来ます。
白馬尻小屋から猿倉登山口までは平坦で歩きやすい道ですし、私が車をとって猿倉まで戻ってくるおおよその時間を伝えて、ゆっくり歩いてくるように伝えて、別れました。
そして、速足と部分的に小走りで下山し、バス発車の3分前に猿倉に到着。
我ながら自分自身の走破タイムの読みがバッチリであることに感心しつつ、バスに間に合ってよかったと安堵しました。
4日間のテント縦走登山を振り返って
親子登山ではメンバーのペースにばらつきがあって、行動時間が正確に読めないことが多いです。
今回については、下山でかなり妻が足に疲労がたまってペースダウンしてしまいました。
私はまだ走れる余力があったくらいですから、そもそもやはり夫婦で背負う装備の量に、もっと差をつけて良かったことを改めて痛感しました。
次の機会は、息子ももっと荷物を背負うようになっているでしょうし、私ももっと背負う覚悟です(>_<)
白馬大池での凧揚げから、白馬大雪渓の尻滑りまで、息子の意見を取り入れて色々と楽しみました。
中でもやはり、息子はライチョウとの出会いが特に印象が強かったようです。
ライチョウの次に白馬大池のクロサンショウウオが珍しかったようです。
息子にとってはおそらく白馬岳の山頂はもう行かなくてもいいんでしょうし、あんまり興味ないと思います。
しかし、今年の夏もクロサンショウウオとライチョウを見に行きたいと言っています。
「もう一度会いたい」と思ってくれていることが分かって、やはり頑張ってテント泊縦走した甲斐があります。
コロナ騒動があって今年の夏、本当に行けるかどうか分かりませんが、だからこそ去年行っておいて本当に良かったと今改めて振り返っています。