8月に息子と山に行こうと話をしていたのですが、天気が悪くて中止になってしまっていました。
そこで、9月の平日、まずまずの天気の2日間を選んで家族で八ヶ岳に行ってきました。
良く聞かれることなんですが
登山ガイドをしているので、良く聞かれるのです。
「家族でもいろんな山に登っているのでしょう?」って。
そんなことないんです。
うちの長男はまだ保育園児ですし、まだ「登る」ことよりも「遊ぶ」ことに興味があるお年頃ですから、私自身まだ高い山や長いルートを歩くことを考えていません。
親としては登山好きに育てたいわけではなくて、自然の中で自分の好きなように遊べる人になってもらいたいだけなのです。
このあたりのさじ加減は、親としてなかなか難しいところですね。
テント泊したい、山小屋のお風呂に入りたい
それはさておき、「山でテント泊をしてみたい」「山小屋のお風呂に入ってみたい」という息子の希望があったので、手頃に行ける場所にこの夏連れて行こうと思っていました。
家族で登山と言っても、まだ小さい子どもが一緒にいて、慣れていないと朝早く家を出発するというのがなかなか難しいものです。
そこで、今回私たちは諏訪のビジネスホテルに前泊したので、朝余裕を持って山に出発できました。
まずは、車で登山口の桜平駐車場へ。
この登山口に向かう林道は、登山地図に「一般車通行可」と書いてはありますが、地上高の高い車、そして四駆車の方がいいと思います。
今年何度も台風が来たせいか、砂利道が掘れている箇所がありました。
また林道上に駐車スペースが4か所ありますが、登山口に一番近い駐車スペースは20台くらいしか停められません。
週末で混んでいる場合や、林道が荒れていて奥まで入れない可能性もあります。
桜平登山口に車で向かう場合は、最新情報を入手すると共に、手前の駐車スペースから想定より長く歩くことを考慮して、時間にゆとりを持って入山して下さい。
登山口を出発して夏沢鉱泉の少し先までは砂利道の林道歩き
息子は早速、自分専用のデジカメを使って何やら撮影をしています。
9月の上旬なので森の中はまだ秋の気配はありません
直前の雨で苔も潤っています
息子はキャンプ場でのオートキャンプの経験はありますが、テント泊登山は初体験です。
荷物はいつも保育園に行くときに使っているドイタ―のリュックに着替えを入れ、自分用のマットだけ外付けしてもらいました。
単調な林道歩きにすぐ飽きてくる息子とクイズをしたり、しりとりをしたりしながら、登山口から2時間30分ほどでオーレン小屋に着きました。
休憩時間を含めて、標準コースタイムの1.8倍くらい、幼児を連れているとこんなもんでしょうか。
到着してまずはテント泊受付、大人一人1,000円(×2名)で未就学児は無料です。
テント設営の最中から息子はテントサイトの周りで一人で遊びまわっていました。
今回は平日なので、テントサイトが空いていて、助かりました。
「テントサイトは遊び場ではない!」なんて、つまらないことで叱りたくないので、自由な空間が残っているくらいのテントサイトに泊まるのが子連れ登山には最適ですね。
夕食はマルちゃん正麺に、カット野菜(キャベツやモヤシ)と生卵とネギを投入(^.^)
うちは一人っ子なので、どちらかの親が子どもと一緒に遊ぶことになるので、食事はあまり凝ったことしないようにしています。
シンプルな食事でも子どもは満足してくれるので、子どもが好きなメニューにしておけばそれだけでOKだと思います。
写真撮り忘れたのですが、この日はかんてんぱぱでイチゴゼリーを作って食後のデザートにしました。
この後、家族でオーレン小屋のお風呂に入浴しました。
大人一人500円、こちらも未就学児は無料でした。
テント泊でお風呂に入れるのって最高ですよね(^.^)
しかもこの日は山小屋の宿泊者も少なく、宿泊者の皆さん全て入浴済みだったので、お風呂を家族貸切で使わせて頂きました。
こういう贅沢が出来るから、平日登山っていいですよね。
夕方から晴れてきたので、夜は素晴らしい星空でした。
入浴後息子は寝袋に入って就寝体制に入りましたが、大人は星空を見たい。
テントの入口を開けて星空を見ていたら、息子に「寒いから閉めてよ」と言われてしまいました(^_^;)
さて、翌日は朝早く起きたのですが、息子は二度寝・・・
朝早くから登山したかったのですが、息子のペースに合わせてあげることにして、ちょっと遅めの8時出発です。
夏沢峠から硫黄岳に行くことも迷ったのですが、結局根石岳へ行くことにしました。
森の苔が日差しを受けて綺麗です
桜平登山口の標高が1890mと高いのであまり実感ありませんが、オーレン小屋から登っていく樹林の中の道で標高2500mを超えていきます。
普段よりも息苦しくなるのと、上手なペースで歩けないこともあって、途中から息子は休みがちで「もう下山しよう」と言い出す始末。
途中の休憩でリンゴとおやつを食べたりして、やる気を取り戻してもらい、標準コースタイムの2倍ちかくかかって箕冠山(みかぶりやま)の山頂に到達。
ここからいったん下ると樹林帯を抜けて、根石岳山荘がある鞍部を経て、根石岳の山頂です。
樹林帯を抜け始めて視界が開けたあたりから、動画を撮影しました。
子どもって、本当に正直ですよね。
目の前に飛び込んできた景色に体が反応して、さっきまで「疲れた!」と言っていたのに、自然に私の前に飛び出して、さっさと先を急ぎ始めます。
いつの間にか、リュックを親が持っているので身軽です。
細かい階段の続く道は大人でもささっと下りるのは大変なのですが、転んで大事故になるような場所ではないので、自由に先に行かせました。
雲海を見ながら「ラピュタに来たみたいだ!」と言っていました。
これまでにも雲海を見た事はあっても、車の車窓から見たレベルだったので、この時が初めて実感を持って、「雲海に出会った」瞬間だったのだと思います。
そして、そのまま根石岳の山頂に一人で駆けだして行きました。
でも途中で思い出して、後ろから来た母親を待って、最後は手をつないで山頂に到着。
根石岳山頂から見た天狗岳に続く稜線
ちょうど私たちよりも少し早く根石岳を通過していった登山者が、稜線の道を歩いていく後姿がずっと見えていました。
根石岳山頂から見下ろした根石岳山荘
今回、硫黄岳ではなく、根石岳を目的地にした理由の一つが、この根石岳山荘を息子に見せることでした。
次の目標は息子と稜線の景色のよい山小屋に泊まること。
根石岳山荘のトイレを利用した際に、さりげなく息子に言っておきました。
「今度この山小屋に泊まってみない?」
さて、根石岳山荘に本当に泊まることが出来るかどうか。
来年以降の楽しみが一つ増えました。
夏沢の源流近く、八ヶ岳はいつ来ても苔が綺麗ですね