山の月刊誌では毎年「膝痛」特集をやっていますね。
それだけ登山で膝痛に悩む人が多いということの表れだと思っています。
私の主催する山の歩き方講習会でも、参加者の中のお悩みの中で、膝痛の方が最も比率が高いです。
山の雑誌では、最近は整形外科医やトレーナー等の専門家が関節や筋肉の仕組みや、膝痛の種類や症例を解説する内容を良く見るようになりました。
そういう記事を読んだり、私のブログを読んで「病院に行こう」と思った方、注意して頂きたいことがあります。
何も考えずに整形外科を選ぶと・・・
一般的に整形外科に膝痛で通う人というのは、加齢により骨や軟骨がすり減っていたり、半月板を損傷してしまった方が多いです。
医師によってはスポーツ傷害の知識が少ない方である(高齢者ばかり診察している)可能性もあります。
そうした医師に、適当に診断名をつけられてしまうことがあることに注意して頂きたいと思います。
「変形性膝関節症じゃないですかね」とか「腸脛靭帯炎のようです」のように、確定的なことを言わずに鎮痛剤と湿布だけ出されてオシマイってパターンを耳にしたことがあるのです。
ですので、スポーツ傷害を専門に診ている「スポーツ整形外科」に行くことを強く推奨します。
膝痛に重要なのは治療だけでなく、予防法を理解すること
膝痛は急性の痛み症状が治ったとしても、その後痛みが慢性化したり、再発してしまうことは避けたいところです。
多くの方の場合、膝を痛めるに至った原因となる歩き方の癖が存在しています。
そういった癖、関節の動かし方や、筋肉の硬さを改善することで初めて膝痛を予防することが出来ます。
予防法としては、ストレッチや筋トレなどがありますが、そうした具体的な体の動かし方について、理学療法士などリハビリの専門家にアドバイスをもらえる病院に通うことが出来れば、それが一番理想的だと考えています。
しかし、そこまで環境が整った病院があなたのご近所にはないかもしれません。
その場合は、スポーツ整形外科で診察してもらった内容を元に、次にスポーツ傷害を見てくれる保険適応の整骨院に行くことをオススメします。
日常で膝痛が出ない場合は・・・
最後にもう1点大事なポイントがあります。
登山時の膝痛に悩む方の中の大半は日常では痛みが出ないという場合が多いです。
山でのみ痛みが出るという場合は、日常(平地)での歩行動作では特別に問題が見られない可能性があります。
斜面や大きな段差など山特有の負荷の高い状況に適応する形で、山でのみ歩行動作に癖がついてしまっている方がいるのです。
そうした、登山時のみに現れる歩行癖は、登山している姿を見ることが出来ないと、どんな専門家であっても問題点とその改善点をアドバイスを行うことが困難であります。
私の主催する山の歩き方講習会では、歩行動作をビデオ撮影して、講習の最後に個別アドバイスを行っています。
ビデオ撮影すると、どの癖が膝痛に影響を与えるのかおおよそ特定することが可能です。
機会がありましたら、是非講習会にもご参加を検討してみてください。
これまで登山ガイドでこうした歩行動作を分析してアドバイスを行うという事例は聞いたことがありません。
登山で膝痛に悩む人が多いことを考えると、こうしたアドバイスが出来る登山ガイドや指導者が増えていくことがやはり重要だと考えています。
また、登山ガイドの側から膝関節に負担をかけない歩行動作について細やかに情報発信を行うことで、その情報が「山の膝痛」に関わる他業種の医師やスポーツトレーナーの方々に広まり、膝痛に悩む全国の登山者をサポートする体制が強化されていくといいなと感じています。
ということでは、引き続きtwitterなどSNSやYoutubeを通じても膝痛情報を積極的に発信し続けようと思います。