登山では膝痛が起こりやすい
登山時、特に下りで膝痛を起こした経験がある方は多いでしょう。
こういう場合、膝痛が起こった部位、起こった状況を明確にし、今後の予防にも役立つので、具体的な状況を記録しましょう。
「膝痛」と一言で言っても、症状は様々です。
主に痛みが発生する場所を大きく分類すると、以下の二つに分けられます。
- 膝蓋骨(膝のお皿)の上部・下部
- 膝蓋骨(膝のお皿)の左右側部
登山時に起こる膝痛は、お皿の上下か左右かどちらかの痛みがその大半です。
上記に当てはまらない痛みの場合は、側副靱帯や十字靱帯、関節部分に直接問題がある可能性があります。
登山時に対処することは困難ですので、専門医に相談するといいでしょう。
膝蓋骨の上部や下部が痛む
これは主に下山中が多いです。
大腿四頭筋が疲労して伸縮性が悪くなったこと、もしくは、休憩時に足を曲げて休んだり、体が冷えてしまったことにより、血行が悪くなり、筋肉の動きが悪くなったことが原因となっています。
大腿四頭筋は下山中に着地の衝撃に対応して、運動し続けるため、疲労しやすい部位です。
そして、この大腿四頭筋は下型の末端が膝蓋靱帯となって、膝蓋骨の上を覆って脛骨と繋がっています。
そのため、大腿四等筋が疲労してきて伸縮性が悪くなる(固まって伸びが悪くなる)と、同時に膝蓋骨が上に引っ張られてしまい、そのズレがお皿の上下の痛みとなって現れるのです。
ですから、膝蓋骨上・下部に痛みがある場合は、まずは大腿四頭筋の疲れをとるために、休憩時に念入りにストレッチとマッサージを行いましょう。
ストレッチの方法は、靴を脱いで横になれる場所があれば、正座をした姿勢で上半身を後ろに出来る範囲で倒すのがいいでしょう。
ゆっくり大腿四頭筋を伸ばしながら、膝蓋骨を覆っている膝蓋靱帯も伸ばすように意識しましょう。
また、膝蓋骨のズレを防ぐと痛みが軽減されるので、膝蓋骨を覆うように伸縮性のあるキネシオテープでテーピングを行うのも効果的な対策です。
この原理を応用しているのが、登山用のサポートタイツです。
もちろん、直接肌にキネシオテープを張る方が、タイツよりも効果が高いです。
膝蓋骨の左右が痛む
この場合、膝に掛かる負荷に左右(内外)のズレが生じています。
上述の膝の上・下部が痛む場合の対処を行ってもいいですが、効果は少ないと思います。
この場合の膝痛は、歩行時の歩き方、体重の掛け方が原因なのです。
まずは、ご自身の歩き方、体重の掛け方に悪い癖がないか、再確認が必要です。
一般的に男性より女性に多いそうで、O脚やX脚、外反母趾の方が多いからでしょうか?
この膝痛に対応する膝サポーターもあります。
しかし、サポーターを使う癖がつくと、その分、膝の周辺の筋肉や靱帯を使わなくなってしまいます。
ですから、サポーターに頼らずに、トラブルの起こらない健康な足を目標にしましょう。
歩き方、体重の掛け方を見直す
私自身は、インソール(中敷)を着用し、日常生活でも体重の掛け方を意識して歩くようになり、膝トラブルを克服した経験があります。
野中、おすすめの中敷き(長年トリム・グリーンを愛用)
スーパーフィート⇒ http://www.superfeet-jp.com/product_trim.html
私自身、かつて、登山中に膝が痛くなったことがありました。
下りではなく登りの時から、右足の膝蓋骨の外側が痛むのです。
原因は体重を外側(小指側)にかける癖でした。
大腿四頭筋は文字通り、四つの筋肉によって成り立っていますが、その中で、外側に付いている「外側広筋」にのみ負荷が掛かりすぎるため、連結している膝蓋靱帯の中でも外側部分に痛みが出たようです。
また、土ふまず部分で踏ん張っていないため、登行時に片足で体重を支える際にも不安定で、膝に負担が掛かりやすかったのだと思います。
私と同じような原因が思い当たる方は、普段履いている靴の靴底を見てみてください。
おそらく、靴底が均一に減っておらず、外側が顕著にすり減っているはずです。
痛みの状況をしっかりと記録しましょう
このように、一言で膝痛と言ってもかなーり奥が深いです。
膝痛に限りませんが、登山時における痛みや違和感などのトラブルは、症状が発生している最中に医師に診察してもらうことが出来ません。
下山して翌日以降に、病院に行っても痛みが和らいでいて、詳細な症状が伝えにくいのです。
誰しも「痛い」経験など早く忘れてしまうので、意識して記録することが大事です。
いつ、どこで、どのように痛むのか、実際の状況を詳細に医師に説明できるようにしましょう。
また、外科や整形外科よりも、「スポーツ整形」などの運動時のトラブルを専門的に診ている医師に相談しましょう。
痛み止め薬や湿布を出されるだけの治療(良くあることですが・・・)は、その場しのぎにすぎません。
原因がどこにあるのかを特定して、筋力強化やストレッチ、歩き方の改善などの原因を克服する方法を探しましょう。
場合によっては、整骨院や整体師に相談することも、解決の糸口になります。
私の持論ですが、こういう課題を一つ一つを自分の力でクリアしていくことも、登山の楽しみ、醍醐味だと思っています。
山の歩き方講習会で、歩き癖のチャックをしています
LISが開催している山の歩き方講習会では、1人1人の歩き癖のチェックを行っています。
バランス良く、均等に体重をかけて歩いている方は実際には非常に少なく、大半の方は重心のかけ方に「偏り」があります。
偏りが大きい方ほど、それが靴擦れや膝痛などの原因になる傾向があります。
姿勢改善の方法も指導していますので、機会がありましたら、是非、山の歩き方講習会へご参加ください。
登山WEB教室でも膝痛に関して、動画で解説しています
膝痛に関する情報は、文章や写真だけでは伝えにくいので、私が動きながら解説した動画を登山WEB教室に掲載しています。
メールマガジンに登録して頂くと、動画が全て閲覧できます。
メールマガジンでは、最新の動画やブログ記事の掲載情報をお知らせしていますので、是非、こちら(↓)のページからメールマガジンにご登録頂ければと思います。
登山ガイドが教える初心者・入門者向けweb教室
疲労時の膝痛への対処法を読ませていただき、やっぱりかと納得してしまいました。
まだまだ初心者ですがこちらで勉強させてもらい、楽しい山歩きにしたいと思ってます。
直近の目標は奥秩父主脈縦走路奥多摩駅?清里駅テント泊一気に歩き抜けなのですが、休みが取れず困っています。
昨年の富士山初登頂は須山口から登りましたが、野中様のツアーをもとに自分なりの計画を立て、剣が峰まで行けました。
その時に励ましのお言葉をいただいた事で、登りきれたと思っています。
ツアー参加も考えたのですが、すぐに疲れて休み休みで皆さんの足を引っ張りそうなのです。
もっと歩いて足腰鍛えて八ヶ岳のツアーに参加できるように、頑張っています。
本日はプライベートガイドで三ッ峠に行かれたようですね、天下茶屋からの富士山がとても綺麗に映っていました。
これからも山の楽しさを伝える、素敵なガイドとして活動されるよう願っています。
三木 賢治 51歳 東京都羽村市在住
>やまめさん
コメントありがとうございます。
ツアーや講習会でお会いできるのを楽しみにしています。
還暦を過ぎた老婆です。体力に自信がなく、ハイキング、1000m未満の小山登山に参加していますが、下り坂で、膝の外側に痛みが生じ、階段の特に下り時がつらいです。
運動不足は、承知していますが、今後もハイキングや、小山登山を続けるうえでの、膝痛の緩和、回避方法などをアドバイス、お願いできないでしょうか?