★2014年に記事を掲載して以降も、この記事はアクセスが好評なので、記事を最新情報に修正しました(2017年10月)
悪天候の時に、登山を中止するかどうかの判断って難しいですよね。
登山者1人1人によって体力や経験値が違いますから、もちろん判断の基準も違ってきます。
おそらく、登山経験が少ない方ほど判断に悩むと思いますので、判断に役立つ基礎知識についてこの場でお教えします。
街の天気予報よりも、天気図を読もう
と、言っても天気図を読むための知識は一朝一夕には身につきません。
なので、「天気図読めないよ!」という方は、天気図についてはいったん横に置いといて、重要なことはテレビやインターネットなどで一般的に見る天気予報はあくまでも「街の天気予報」なので、真に受けて登山をしてはいけないことを覚えておいて下さい。
特に夏は晴天でも午後になると山に雲が掛かりやすくなりますし、街よりも山の方が天候悪化が早く訪れることがあります。
なので、北アルプスの登るときに松本の、富士山に登るのに御殿場の天気予報を見ても、あくまでも参考程度にしかなりません。
天気図は山岳気象に関する書籍などを読んで知識を得て、登山に行く前日に当日の予想天気図を毎回見る習慣をつけることをおすすめします。
山の天気情報を調べる時に・・・
【てんきとくらす】 http://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/
登山口や山頂などの天気予報を見ることが出来るので、登山をされる方はこのサイトを見ている方が多いようです。
しかし、このサイトは厳密には天気予報ではなく、「快適指数」ををA・B・Cで表記しているものです。
風速の予報は参考程度に閲覧することがありますが、私自身はこのAからCの表記は全く信用していません。
実際の登山の実施・中止の判断や、登山中の状況把握には以下の1-3、三つの項目が大いに有効です。
1 雨雲の動き・降水予報を調べる
私自身がチェックしているサイトは3つあります(2014年版)
【ウェザーニュース社の雨雲レーダーch】http://weathernews.jp/
【気象庁レーダーナウキャスト】http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/(無料)【国土交通省 XRAIN雨量情報】http://www.river.go.jp/xbandradar/(無料)
4年も経つと新しいサービスがどんどん増えています。私が今見ているのは、こちら。(2017年版)
- 【SCW スーパーコンピュータが予測する高解像度の天気予報】 https://supercweather.com/(一部有料)
SCWの前身、GPVも利用していましたが、雲の動きなどが詳細に分かるので重宝しています。
1時間おきの雨雲、雲の動きが分かるので、とても便利です。
半年ほど利用して2017年夏から有料版を利用しています。 - 【ヤマテン 山の天気予報】 https://i.yamatenki.co.jp/(有料)
山岳気象予報で有名な猪熊 隆之さんが運営しているヤマテン。
専門天気図を見ることが出来ますが、3時間ごとで地図も小さいのが難点です。有料会員登録をして利用しています。2019年時点でSCWの方を活用しているのでヤマテンは退会しました - 【気象庁 解析雨量・降水短時間予報】 http://www.jma.go.jp/jp/radame/index.html(無料)
6時間前から今現在までレーダーとアメダスなどの降水量観測値から作成した降水量分布を「解析雨量」、今後6時間の1時間ごとの降水量分布を予測したものとして「降水短時間予報」となっています。半日先までの大まかな天気の移り変わりを把握できます。 - 【気象庁 高解像度降水ナウキャスト】 https://www.jma.go.jp/jp/highresorad/(無料)
記事の冒頭に掲載している写真がこのナウキャストのスクリーンショットです。
解析雨量・降水短時間予報と比べると、1時間前から1時間先までと予報の時間範囲が限定されますが、それだけ情報が正確になっています。
地図を拡大して、該当山域の10分ごとの雨雲の掛かり方の変化が見られます。
雷注意報が発令されている時は、このサイトを定期的にチャックして雷雲の襲来を事前に把握しましょう。
私は上記4サイトを防水スマートフォンにブックマークしているので、雨の時や天気が気になる時は、登山中に常時スマホでこれらのサイトをチェックしています。
上記の情報をうまく使いこなすことが出来れば、
激しい雨をもたらす雨雲が通過する30分間を把握して、その間山小屋の中に入って、コーヒーを頼んでゆっくり休憩をして雨をやり過ごす
なんてことも出来ます。
有料登録をする場合、ガイドでない限りはSCWかヤマテンどちらか一つでいいと思います。
どちらを利用するかどうかはお住まいの地域や、登山スタイルなどで判断が変わると思います。
ただ、無料で得られる情報に限界があることは事実です。
もちろん、100%正確に気象予測は出来ませんから、外れることもあります。
大事なのは、気象に関する知識を養いながら、経験を重ねて得た情報から適切な判断をする能力を高めていくことだと思います。
2 風の状況を調べる
富士山、アルプスなど3000mを越える山々など、森林限界を超える山域では、風の状況が登山を大きく左右します。
そこで、以下のサイトで上空の風速情報を確認しましょう。
【気象庁ウィンドプロファイラ(上空の風)】http://www.jma.go.jp/jp/windpro/(無料)
富士山のような独立峰は地形の影響が少ないので、ほぼこの値に近い風をうけることになります。
私自身、夏の富士登山ガイドの際は、河口湖上空の3kmと4kmの「風速」を確認し、登山時の参考にしています。
風速10mを越えていると注意が必要、15mを越えていると困難、20mを越えると行動不能、といった具合でしょうか。
ただ、実際には地形や風向きで、行動にどのような影響が出るかは異なります。
このデータだけでなく、現場の状況や登山者の体力も含めて判断しましょう。
また、他の予報サイトに記載されている風速は大半がコンピュータによる予想値です。
このウィンドプラファイラは実測値なので、出来る限りこのサイトの数値を参考にして登山をされることをオススメします。
3 山小屋に電話して情報を確認する
最も確実に現在の天気状況を確認する方法です。
現在は、大半の山小屋は現地へ直接電話することが出来ます。
山小屋に宿泊予定であれば電話して、手短に天気の現状を聞きましょう。
ただし、山小屋のスタッフさんも天気予報士じゃないですし、業務で忙しいですから、「明日晴れると思いますか?」みたいな野暮な質問はやめましょうね(^_^;)
私の実体験としては、登山口に向かう車中で豪雨に遭遇し、登山中止をしようとして、山小屋にキャンセルの電話をしたら「こっちは晴れてますよー。下界は雨みたいですねー。」なんてことがありました。
市街地、登山口、山の上でそれぞれ別の天気であることが普通で、また常に天気は移り変わります。
結局のところ、その場に行ってみないことには、本当のことは分かりません。
なので、現地のことは現地の人に聞きましょう。
宿泊利用しない山小屋に電話する場合は、善意で回答して頂くことに十分に配慮して連絡するようにしてください。
八ヶ岳天狗岳2月下旬に登る場合、登山靴は冬用でなければ寒さに耐えられないでしょうか? 現在使用している登山靴(ローバーのターホプロ、ヌバック皮のゴアテックス製)で過去に3月中旬の西穂独標、4月下旬の北穂高を経験しております。12本爪アイゼンもしっかり固定できており、西穂高でも寒さは感じませんでした。参考までにご意見をお願いします。
天気が良ければ冬靴でなくても寒さは感じないかもしれません。
ただ、何かトラブルが発生した時に一晩ビバークに耐えられるかどうか。
私の場合は、雪山に関してはこの観点で装備選びを判断します。