登山中の疲労解消法② エネルギー不足による疲労への対応
登山特有の「行動食」というエネルギー摂取のスタイルは、登山以外の分野では全く経験しないことです。
初心者が登山に慣れるうえで、最初のハードルの一つだと感じています。
とにかく、登山で消費するエネルギーは、日常生活の比ではないので、その分をしっかり補給する必要があります。
もし、食欲が無くなり、エネルギー補給が出来なくなってしまうと、今回のテーマである「シャリバテ」(エネルギー不足による疲労)状態に突入します。
完全に電池切れの状態になりますので、登山どころではなくなります。
対処法
とにかく、暖かい恰好をして、30分以上の休息をとり、可能な形で栄養補給を行う必要があります。
持参している行動食などの食料が食べられる程度なら、すぐに回復するでしょう。
飲み物は冷たい物よりは、暖かい物が理想的ですが、同時に糖分を補給できるのが理想的です。
特に、糖分は吸収が早く、すぐにエネルギーとなりますので、優先して補給します。
糖分を含む行動食や、暖かい飲み物に砂糖や飴などの糖分を溶かして飲むといいでしょう。
固形物が食べれれないほどの状態ですと、しばらく休息をおこなって、再び歩きだせるまで回復した場合でも、本来の能力を発揮することは難しいでしょう。
さらに、食欲を減退させ、エネルギー補給を妨げられた原因をとりのぞかなければ、同じ状態を繰り返しかねません。
その原因のほとんどは、本人の体力とその日の体調に見合わない過度な負担が続いたことです。
ペースを落とすこと、荷物を軽くすること、そして、可能な限りスケジュールを変更し、その日の行程を短縮することが必要です。
さらに、回復が思わしくない場合は、近くの山小屋に泊まるなど、しっかりと長時間の休息をとる必要があります。
特に、食欲不振に留まらず、疲労感が強い場合、吐き気や嘔吐などその他の症状が現れている場合はそれ以上の登山継続は困難です。
注意すること
食欲減退の症状が出ている登山者は、飲酒を控えましょう。
アルコールは体内で分解される為に、たんぱく質を消費します。
エネルギー補給が十分でない状況での飲酒は、体にダメージを与えるだけです。
さらに、「ハンガーノック」と呼ばれる極度の低血糖状態になってしまった場合、対処を誤るとさらに重篤な症状に陥る可能性があります。
「疲れ」という範疇を通り越し、力が入らなかったり、体が思うように動かない、思考力が低下した状態には注意が必要です。
小屋泊登山でバテてしまったら・・・
例えば山小屋に泊まる登山の場合、なんとか山小屋までは頑張ろうと無理をして到着したものの、夕食が食べられない・・・というようなことも起こり得ます。
食欲の減退を感じたら、そもそもいつも通りの食事をすることはすっぱり諦めましょう。
食事に手をつける前に、自分自身が食べれる分だけを盛り付けてもらうか、食べられない分を仲間に分けましょう。
例えば、少量のご飯に味噌汁をかけて、ご飯を食べやすくしてみたり、出来る範囲で食べやすくする工夫や、食べられるものだけを確実に食べる工夫をしましょう。
明らかに食事がとれないことが分かっている場合は、山小屋のチェックイン時に素泊まり宿泊料金にしてもらいましょう。
食べられないときに無理をする必要はありません。
食べたり飲んだり出来そうになった時に、行動食を口にするのが得策です。
また、運動後に食欲不振になりやすい参加者の方は、ベビーフードやレトルトのお粥を携帯することをオススメしています。
レトルトパウチで少量がパックになっていて、ベビーフードやお粥は消化しやすいです。
味はうす味ではありますが、食欲が落ちて体調も優れなくなった方には圧倒的に食べやすいです。
胃腸が弱く、食欲が落ちやすい方には、とてもおススメの裏技です。
お湯か?コーラか?
もしあなたが食欲不振でエネルギー不足になってしまい、体温を維持するエネルギーも枯渇して、寒さを感じている状態だったとします。
リュックの中に、テルモス(保温水筒)に入った白湯と、コーラがあったとしたら、どっちを飲むといいと思いますか?
答えは、コーラです。糖分がたくさん含まれています。
寒さを感じる状況では、白湯の方が飲みたくなるかもしれません。
しかし、白湯は飲んだ直後に胃が暖かく感じるだけで、エネルギーにはならないのです。
現実的には、コーラをお湯割り(?)にして飲むとか、コーラを温めることが出来れば、それが一番いいかもしれません。
飲料しか喉を通らない場合は、その飲料でなるべく糖分を摂取できるようにしましょう。
もちろん、糖分を含まないダイエットコーラは問題外です!
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