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1 「ハイカット」で足首を固定できるもの

 
登山靴の大半は「ハイカット」や「ミドルカット」と言われる構造をしていて、足首を固定して捻挫を防ぐ役割を持っています。
 
ミドルカットの方は足首部分谷状(V字状)の切れ込み入っていて、可動性が高く、動きやすくなっています。
 
もちろん、ミドルカットよりハイカットの方がより固定力が高いです。
 
これは、下山時に足首を安定することで、靴ずれを防ぎ、着地時の強い衝撃の負担を軽減する効果があります。
 
 
個人的には高低差が7-800mを越えるようであればハイカット、それ以下ならミドルカットでもいいかなと思っています。

しかし、このような判断は個人の体力差も考慮する必要があります。

ですので、初心者の方、体重の重い方、下りが苦手な方ほど、ハイカットをオススメします。
 
 
さらに、足首のないローカットの靴はどんなに簡単なハイキングでも捻挫を予防する効果が全くありません。
 
そのため、ローカットの靴は山道を走るトレイルランナーや、登山歴の長いベテランの方以外はオススメしません。
 
山小屋に宿泊するような登山は、標高差が大きくなりますのでハイカットの登山靴がいいでしょう。
 
 
Q バスケットシューズやコンバースなどのハイカット靴でもOKですか?
 
A 山用の靴でなければ靴底のグリップ力が弱く、下山時に転倒しやすく大変危険です。
 
 
Qハイカットの靴は足が固定されて歩きにくいのですが?
 
A ハイカットが足首が動かしにくいから、ミドルカットの靴を購入した・・・なんて声を聞いたことがありますが、それって靴ひもの締め方が悪かっただけではないでしょうか?
 
登りの時は足首を前に倒して歩くゆとり必要があるので、足首部分の靴紐を少し緩めで履きます。

ハイカットの靴でも紐の調節で足首の自由度を調整できるのです。
 
 
もちろんハイカットの靴の方が重くなりますが、その重さと、安定感が登山時の歩行を安定して疲れにくくしてくれます。
 
ですので、個人的な履き心地の好みでは選ばず、しっかりと用途に合ったものを選ぶことが大切です。 
 
 
 

2 子どもの場合はハイカットでなくてもOK

 
おおむね22cmサイズまでは、子ども用のハイキングシューズが販売されています。
子どもの場合体重が軽く、足首の捻挫をする可能性が低いため、必ずしもハイカットやミドルカットである必要はありません。
 
また、23cm以上になって大人の女性用の靴を購入する場合も、体重が比較的軽いお子様はローカットの登山靴でも構いません。
 
 
特に、成長期の子どもは直ぐに靴のサイズが合わなくなってしまい、高額な登山靴を購入しづらいと思います。
 
比較的価格の安いローカットの登山靴やGore-tex(防水生地)を使用していない靴を選択するのも構わないと思います。
 
 
しかし、大人とほぼ同じサイズ(足長)であっても、子どもの場合、体重が軽く、足の骨や筋肉が未発達の場合があり、足幅が細い(足囲が小さい)ために、靴が合わないことがあるので、注意が必要です。
 
また、歩く登山道が土の路面中心で、悪天候の際は登山しないのであれば、子どもは普通の運動靴でも構わないと思っています。
 
 
しかし、大人は登山靴、子どもは運動靴で登山する場合は、滑りやすい箇所で子どもへのフォローが必ず必要になります。
 
逆に、登山道に石や岩が混ざる森林限界を超える山を登る場合や、気象の変化に遭いやすい高山へ登る場合は、子どもと言えどもしっかりと防水で靴底のグリップ力の高い登山靴が必要となります。
 
 
 

★ カラーやデザインの好みや機能性、予算より、最優先すべきは「足に合っていること」

 
足に合っていなければ、靴ずれの原因になるだけでなく、膝痛や足のトラブルを招きますし、転倒などの事故の原因にもなりかねません。
 
登山靴は比較的高い買い物ですから、「足に合っている」と思えなければ、買ってはいけませんよ。
 
また、「足に合っている」とはどういうことかを、分かりやすく説明してくれないお店や、店員さんは信用しない(←ここ重要)のが一番です。
  
 
足長のサイズが合っていても、外反母趾で足幅が広く当たる場所がある場合や、足が細くてどの靴を履いても緩さがある。
 
このような特徴的な足の方は、登山靴を知り尽くしている店員さんの高度な靴の知識とフィッティング技術が必要になります。
 
家から遠い場所で交通費がかかってでも、老舗で、登山靴のラインナップが多い登山用品店で試着、購入することをオススメします。
 

3 きちんと山用の靴を選ぶ

 
例えばスポーツ用品やスキー用品、靴の量販店には、プライベートブランドなどの「登山靴っぽい靴」が販売されています。
かなり安いです。
 
しかし、これらは登山靴の形だけをしていて、実際には強度が弱くて直ぐに壊れてしまったり、登山靴として通常備えているべき機能を持っていません。
 
靴の説明書をよく読むと「キャンプ用」と書かれていて、見掛け倒しの靴を「確信犯」で製造して販売している業者もあります。
(具体的な店名やブランド名はここでは触れませんが、皆さん聞いたことがあるお店、ブランドです。)
 
安いのには理由がありますので、これらの靴を購入するのは避けましょう。
 
きちんと「登山用」として製造された靴を買うことが大切です。
 
 

4 登山靴は揃えればOK、ではない。

 
一口に山用の靴と言っても、種類も多く、どれを選んでいいのか初心者の方ほど、混乱してしまいます。
 
お店や雑誌によって、
「登山靴」「トレッキングシューズ」「ハイキングシューズ」
など、様々な呼び方がありますが、明確な定義がないこともさらに混乱を助長しています。
 
だからこそ、登山靴に詳しい店員さんか、友人・知人で詳しい人にアドバイスをもらいながら購入することが理想的です。
 
登山靴は、型落ちやシーズンオフにならないと大幅に割引になることはなく、基本的には定価販売です。
どこのお店で買ってもほぼ同じ値段の靴を買うならば、どうせなら登山経験が豊富な方にアドバイスをもらいながら買うのが一番です。
 
分からないことは正直に聞いて、勉強しながら選ぶといいでしょう。
 
 
最後に、登山靴は、足に合うものを見つければOKではありません。
 
・その靴を履くのに適した靴下の厚みは?
・登山に適したインソールを使うと履き心地がどのように変わるか?
・どのように靴ひもを締めるのがベストの状態なのか?
・メンテナンスや保管の方法は?
 
知らなければならない情報がたくさんあります。
だからこそ、ネット通販ではなく登山靴だけは実店舗で購入することをオススメします。
 
ネットよりも実店舗の方が数千円高かったとして、その分は授業料だと思いましょう。
 
また、購入後に登山で履いてみて、違和感を感じた場合などは買ったお店に相談に行くことが出来ます。
さらに、靴ずれができるとか、膝が痛くなるとか、足のトラブルも相談してみましょう。
 
登山靴のフィッティングに慣れた店員さんは、このようなトラブル対処にもしっかりアドバイスが出来ます。
トラブル対処法として、インソールやサポーターなどの商品をセールスしてくるのはよくあること。
 
そこに留まらずに、履き方のポイントや歩き方のポイント、ストレッチの方法などを教えてくれる店員さんがいれば、その店員さんは本物です。
 
 
信頼できる、相談できる「先輩登山家」と出会える。
 
じつはこれが、実店舗で買う大きなメリットなんですよ。
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