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 16日は父の13回忌で上野の谷中に行ってきた。  往復の車内で、「あの時はまだ僕は高校一年だったのだ」と色々と昔を思い返していた。  残暑が残る夏日、私服の高校だから半袖のTシャツを来ていたのを覚えている。  がんが再発したことで父は築地の国立ガンセンターに入院していた。  看病のため通院していた母から、父の容態が思わしくないことを聞かされて、その日はちょうど放課後に見舞いに行くことになっていた。  放課後に病院に向かう途中、自宅に電話をすると病院にいる母から連絡を受けていた弟が僕に伝えて来たのは、父が「キトク」だということだった。  父のガンが再発してからはいつかその時が来ることは分かっていた。  それでも「キトク」という言葉に実感が湧かないまま、病院に向かった。  病院に着くと、既に泣きはらした母と祖母がいた。  結果的には僕は父の死に目に会うことは出来なかった。  あれから13年たった。    最近、父が登場する夢を見た。  13年の中で、夢に父が出てきたことは少ない。  その夢では、僕は父と一緒に山を歩いていた。  父はもともと山に登る人では無かったから、不思議な夢だった。  父も僕が今のような道を進んでいることを認めてくれたのだろうか?    過去、現在、未来。  色々なことに思いを馳せた一日だった。
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