Pocket
LINEで送る

 


山頂にて

ということで、無事に親子で富士山に登頂して帰ってきましたが、もう少しだけ書き残しておきたいことがあります。
初めての親子富士登山 1 の最後で「登頂するよりも大切なことがある」と書きました。

 

これは褒めてあげないといけないなと

小学4年生で頑張って富士山に登ったということ自体を特別視するつもりはなかったので、山頂に着いた際もいつもの登山と同じように労っただけでしたが、1泊2日の登山を通して、息子の姿を見ていて、これは褒めてあげないといけないなと思った点がありました。

私に「ヤレ」と言われてやったことではなく、息子が自然と行っていたことなので、なおのこと褒めねばならないと思って、帰宅して妻と一緒に家族3人で富士登山の話をしている際に褒めてあげました。

人の話を聞けないマイペースなところがある息子です。

普段は叱ることの方が多いかもしれませんが、今回の登山では褒めたいと思うことが多かったのです。

親バカな話で申し訳ないのですがご紹介します。

「富士登山協力金」のブースを見るなり、自分のお小遣いの中から1000円払って寄付をしていたこと

富士登山協力金の話は事前に何もしていなかったのですが、募金を受け付けているのを見て、率先して自分の財布からお金を出していました。
あとで「なんで?」って聞いたら、世界遺産なんだからみんなで協力して守らないとと思ったと申しておりました。
お小遣いをもらっている子どもだからこそ、後先考えずにポンと1000円出せてしまうのかもしれないですが、自分で考えて行動できていることに正直驚きました。

自分の荷物を2日間背負い通したこと

同年代の小学生の中には、お父さんに荷物を持ってもらっていたり、ザックが小さい小学生が多かったですが、24Lのザックを背負いきったことに成長を感じました。
さらには下山途中に父親の荷物の方が大きいことを理解していて、「少し持とうか?」と気遣いを見せたので、これは素晴らしいなと思いました。

下山しながら登山道から転げ落ちそうな岩を安全な場所に動かしていた

下山の時に登りの人に道を譲るというような、基本的なマナーが身に付いてきていることは以前から分かっていましたが、それ以上に、「登山道整備」的な意識を持って歩いていることに感心しました。
「この岩危ないよね」などと言って、谷側にあった岩を転がりにくい山側に動かしていました。

こうした気遣いって、体力的に余裕があったとしても、大人でも出来ないことがあります。
教えたことは一切ないのですが、私自身が登山道を歩きながらたまにしていることなので、やはり親の背中が見られているのだなと思いました。

 

富士山のように標高の高い山や厳しい山は、肉体的な負担が大きいからこそ、周囲を気にする余裕がなくなってしまいがちです。
富士山を登っていても、狭い道でのすれ違いで譲り合う余裕がなくなっている人(疲れ切っているんですよね)をよく見かけます。

「苦しい時こそ姿勢が問われる」
私の好きなイチロー選手の言葉ですが、私は登山ではまさにそうだと思っています。
苦しい時、しんどい時こそ、自分のことではなく、周りのことを考えられる人でありたい。

こうした考えはガイドとしての職業的な倫理観というよりは、一登山者としての個人的な価値観です。

なので、他者に推奨したこともなく、押しつける気もなく、息子にも語ったことはありません。

本人は自覚がないとは思いますが、私の価値観が息子の行動に伝わっていることに気づけて、何だか少しだけ嬉しかったです。

突然思い立って父と子と二人で山旅に出たからこそ気づけたことですね。

登ってよかったです。

Pocket
LINEで送る